「グローバリゼーションは新たな段階を迎えつつある。人・モノ・情報のボーダーレスな移動によって生起したさまざまなコンフリクトは、人類が近代に達成したさまざまな価値や制度に揺さぶりをかけている。これに拍車をかけるのは、第四次産業革命とも言われる新たなテクノロジー社会の到来であり、気候変動を核心とする人類と地球生態系のサスティナビリティの危機であり、医療・生命技術の発展がもたらした生命のボーダーレス化である。 いったい、わたしたちがいま生き、これから向かおうとしている世界はどのようなすがたをしているのだろうか。これまでそうだと思っていた世界の分節が機能不全を呈しつつある時、わたしたちはもう一度、わたしたちが生きる「世界」そのものを問い直し、新たな「世界」像を構築するための想像力を開放する必要がある。そのことは同時に、「人間」に対する再定義をも迫っている。現在の人間は、自然とのつながりだけでなく、