■下北沢を舞台にしたきっかけ ―なぜ下北沢を小説の舞台にしようと思ったのですか? よしもと 今の下北沢の雰囲気をそのまま残しておきたいと思ったんです。ここ5年くらい、下北沢の街の移り変わりがあまりにも早いので、なんだか動揺しちゃって。 ―主人公の「よっちゃん」が務める店のモデルであり、実在したビストロ「レ・リヤン」は、2008年12月末に閉店していますが、やはりこちらも「残したい」という思いから書かれたのですか。 よしもと 「レ・リヤン」が無くなると聞いたときはものすごくショックで、「これは何かの形にして残さなきゃ」と思いました。パリのホテルに泊まると、歩いて行ける距離に必ずああいう店があるんですよ。その感じにとても似ていたので、「パリにいるみたい!」と思って週に5日くらいは通っていました。今は幡ヶ谷に移転されて、メニューも変わらずホッとしています。ただ、歩いて行ける距離にあるのと、幡ヶ谷