87万部のベストセラー『ゾウの時間 ネズミの時間』(中公新書)から25年。 動物生理学者の著者が、ウニやヒトデといった自らの研究分野を、初めて一般向けの新書にした。「やっと書かせてもらえた」とうれしそうだ。 紹介される色々な生き物の有り様にはうならされる。例えば砂の上に暮らし、砂粒の間の有機物を栄養にしているナマコ。ほとんど動かずとも生きられるから、摂取エネルギー量は少なくてすみ、筋肉はごくわずか。体の大部分は皮なので食べられる危険も少ない。昆虫も「クチクラ」素材の外骨格を持ったからこそ、体を乾燥から守り、羽を生やして飛べるようになった。貝もホヤも、確かにみんなすごい。「人間とは相当違うが、それぞれ地球上で大成功した。同じ地平で褒めてあげないと」 だから各章の最後に自作の「褒め歌」を付けた。 ♪見ない 耳ない 鼻もない 筋肉あっても 超少ない~~(ナマコ天国) 生物学習に必要な知識をちりば