CA1870 – 動向レビュー:ACRL高等教育のための情報リテラシーの「枠組み」 ―白熱する議論に向けて― / 小田光宏 都道府県立図書館論 慶應義塾大学名誉教授:田村 俊作(たむら しゅんさく) 1. はじめに 本稿では、都道府県立図書館に関する論考を概観する。公立図書館については、市区町村立の図書館が、市民にとってのあり方が問われてきたのに対し、都道府県立図書館をめぐる議論では、市区町村立図書館との関係の中でその存在がいかに正当化されるのかが問われてきている。長年に渡って予算が削減され、ほとんどが非常に厳しい運営を強いられている点も、近年の論の背景となっている。 本稿では、研究論文のみに留まらず、都道府県立図書館の動向を考察・検討し、今後の可能性や取るべき方向を示唆する論考や行政・団体等による政策文書も取り上げる。対象を広く捉えるのは、その役割や機能に関する重要な提言を含む多様な見