◇「安全がある」という神話 今回の東京電力福島第1原子力発電所での事故に関して「安全神話の崩壊」という決まり文句をよく耳にする。しかし1995年に起こった高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏出事故など原子力関係の事故は--今回ほど大事でないにしろ--今までも何度もあった。その度にこの決まり文句が使われてきた。 期せずして同時期に問題になった激安ユッケの食中毒事件、そして今の菅直人首相がカイワレを食べたO157やBSE。他にも産地偽装と、食の世界でも安全神話、実は何度も崩壊している。同じような構図は原子力や食だけでなく建築や交通など、さまざまな分野で繰り返されている。 何度でも崩壊しゾンビのように復活する。それは「安全神話は崩壊した」と言いながら、日本人がその親玉の「安全がある神話」をかたくなに捨てようとしないからだ。 「安全」とは見果てぬ夢--「100%安全」に近づくための不断の「より