文筆家 大平一枝 第三話:歳を重ねるということ 「受け入れる」、「あらがう」 歳を重ねることが怖くないと言ったらうそになる。それがとてもゆたかで素敵なことだと理屈ではわかっていても、加齢を感じるような事象を目にすると気持ちはあからさまに焦り出す。自然の摂理にあらがうのは格好悪いと思うが、なかなか身をまかせる境地に至れない。 先日女友達らと、素敵に年をとるとはどういうことかと話した。私は80代になっても服装もメークも身ぎれいにしていて、ひとり暮らしでもしゃんとして、年齢を問わず誰とでもフラットにいろんなジャンルの話ができるような人に憧れる。そう言うと、いつも歯に衣着せぬ発言をするひとりが言った。 「容姿や自分にこだわりすぎるのは、ちょっと見苦しく感じられるよね」 辛辣な言葉にぎくりとした。彼女は続けた。 「年を取るって、受け入れるってことじゃない?」 ああその通りだと、みなが深く頷いた。 若