映画看板職人は、今や全国でも珍しいという稀有な存在。この道50年の大下さんの長い経験で磨き抜かれた技術は、芸術の域に達していると高い評価を得ています。大下さんの工房には、大好きな女優のひとりというオードリ・ヘップバーンをはじめアラン・ドロン、ジョニー・デップ、高倉健、田中邦衛、寺尾聡など往年のスターたちを描いた作品が所狭しと並んでいます。大きなもので、縦2.7メートル、横5メートル。名俳優たちの表情を生き生きと描いたすばらしいタッチで、見るものに訴えかけてくるような圧倒的な迫力があります。 大まかな手順は、まずポスターをプロジェクターから看板に投射し、拡大したり縮小したりしながら、えんぴつで下書きをすることから始まります。その後すぐにアクリル絵の具で着色していきます。「顔の表情を決める最初の15分が勝負。映画看板は似ていなければ意味がない」と大下さん。乾きやすい性質を持つネオカラーで描くた