日本人はとにかくリスクの存在を嫌う。その背後には、リスクは完全にコントロールできるものだという考えがあるように思う。「備えあれば憂いなし。」きちんと対策を立てれば、あらゆるリスクを根絶できる。そんな考え方が日本では一般的なのだろう。でも実際には、そんなことはあり得ない。およそありとあらゆる行為はリスクを伴う。 もちろんリスクを減らすことはできる。そのためにはそれなりのコストが必要だ。そしてどんなに莫大なコストをかけても、リスクを完全にゼロにすることはできない。マスコミも馬鹿だから「想定される最大のリスクは?」などという質問をするが、そんなものは存在しない。リスクの分布は切断分布ではなく、長いテールを持っている。どんなリスクを想定しても、それ以上の被害が起こる可能性は存在する。10mの堤防を作っても、15mの津波が来れば防げない。リスクとはそういうものだ。 ほんのわずかのリスクでも、日本人は