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ブックマーク / book.asahi.com (37)

  • 「女性嫌悪(ミソジニー)と政治」本でひもとく 男性の地位・特権、脅かせば罰 三浦まり・上智大学教授|好書好日

    国際的に広がったセクハラへの抗議運動「#MeToo」。日の集会で発言する女性=2018年4月、東京 アメリカ大統領選が近づくにつれ、4年前のヒラリー・クリントンの敗北が思い出される。ヒラリーは敗北宣言で「これを見ている小さな女の子たち、あなたが価値のある力強い存在で、この世界で夢を追いかけて達成するチャンスに恵まれるべきだということを、けっして疑わないでほしい」と呼びかけた。熱いものが込み上げてくるのを感じながら、私もヒラリーの演説に聴きいった。 『WHAT HAPPENED 何が起きたのか?』はヒラリーによる大統領選敗北をめぐる冷静な分析と自己反省のだ。「わたしは多くの人が――それこそ何百万人もが――わたしのことを嫌いなのだという結論に達した」。これほど多くの人に拒絶されたのは、具体的に何をしたからなのかと自問する。 それは、大統領選に立候補したからだとヒラリーは気付く。仕事では評価

    「女性嫌悪(ミソジニー)と政治」本でひもとく 男性の地位・特権、脅かせば罰 三浦まり・上智大学教授|好書好日
  • イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——後編|じんぶん堂

    記事:平凡社 パレスチナ・イスラエル問題に関するオンラインセミナー「パレスチナ連続講座」に登壇する東京経済大学教授の早尾貴紀さん 書籍情報はこちら 《前編はこちらから》 ホロコーストを経験したユダヤ人とイスラエル 「ホロコーストを経験したユダヤ人が、どうしてジェノサイドをする側になるのか」という質問をよく受けます。そのことについて、2023年に日でも公開された『6月0日 アイヒマンが処刑された日』という映画を例にお話しします。ナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンは1960年に逮捕され、62年にイスラエルで処刑されました。映画ではその死体を焼却する炉を作る過程が描かれます。映画に登場する鉄工所の社長、作業員、臨時に雇われた少年工は、それぞれ、「イスラエル国民」を構成する3階層のユダヤ人グループに属しています。 1つめのグループは、イスラエルの建国運動を中心的に担った人たちです。ヨーロッパ出身で

    イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——後編|じんぶん堂
  • イスラエルはどうしてあんなにひどいことができるの? 早尾貴紀——前編|じんぶん堂

    記事:平凡社 パレスチナ・イスラエル問題に関するオンラインセミナー「パレスチナ連続講座」に登壇する東京経済大学教授の早尾貴紀さん 書籍情報はこちら ヨーロッパ植民地主義を反復するイスラエル イスラエルは1948年の建国の際に、およそ500のパレスチナの村や町を破壊し、住んでいた人々は難民となって周辺の地域に逃れました。とりわけガザ地区は住民の70%以上が難民という状況が生じました。 1967年から軍事占領されたガザ地区では、抵抗運動とそれに対する弾圧、空爆や侵攻も繰り返されてきました。2000年代からは陸海空の封鎖が強化され、ガザ地区は外部との出入りがほぼできない「巨大監獄」のような状態に置かれています。2023年10月7日の武装蜂起は、このような軍事占領に対する最終的な一斉蜂起、最後の抵抗でした。 それを受けてイスラエルは大規模な空爆、侵攻、虐殺を始めました。抵抗運動を組織してきたハマー

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  • 大学改革のゆくえ 裾野広い人材育成で好循環を 明治学院大教授・石原俊|好書好日

    10兆円規模の大学ファンドの最終まとめ案を議論する国の総合科学技術・イノベーション会議の専門調査会のメンバーら=昨年1月 さる6月、国は世界水準の研究力を目指す「国際卓越研究大学」(卓越大)の候補を事実上、東大・京大・東北大の3校に絞った。今秋に最終認定される卓越大には、10兆円規模の大学ファンドの運用益から、年間数百億円もの助成が行われる。卓越大制度は戦後日の大学史上、1991年の一般教養課程廃止と「大学院重点化」、2004年の国立大学法人化に続いて、3度目の大改革にあたる。30年以上も大学改革が続いてきたわけだが、その結果は芳しくない。 2度目の大改革では「選択と集中」の旗のもと、国から国立大への定常的給付金(運営費交付金)が削減され、プロジェクト型の時限付補助金(競争的資金)が増額された。だが安定して人件費に使える予算が減ったために、教職員の非正規率が増加し、これが1度目の大改革で

    大学改革のゆくえ 裾野広い人材育成で好循環を 明治学院大教授・石原俊|好書好日
  • 重版未定本の復刊を実現、売り切った書店員の情熱:書泉グランデ・大内学さん|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 「書泉グランデ」書店員・大内学さん 書籍情報はこちら 『中世への旅 騎士と城 』の魅力 の街・神保町に店を構える「書泉グランデ」は、1948年(昭和23年)創業の老舗書店。鉄道、アイドル、格闘技をはじめとした趣味人向けの専門性の高い書籍を網羅的に取り揃えている。 今回、重版されたのは『中世への旅 騎士と城 』(白水uブックス)(著者:ハインリヒ プレティヒャ、翻訳:平尾浩三)。中世ヨーロッパの騎士たちの日常生活などを、豊富なエピソードをまじえてわかりやすく解説している。日では1982年に翻訳刊行され、2010年に白水uブックスで復刊された。大内さんが同書に出会ったのは、中学生時代だったという。当時、初めて読んだ感想を次のように語る。 「ゲームライトノベルの多くが中世ヨーロッパの世界を下敷きにしていました。例えば、友達同士で会話しながら遊ぶボードゲーム・テーブル

    重版未定本の復刊を実現、売り切った書店員の情熱:書泉グランデ・大内学さん|じんぶん堂
  • 「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと|好書好日

    宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより 「私自身、訳が分からない」 「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。 「自分のことをやるしかない」 今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関

    「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと|好書好日
  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー後編「この日本という国では『やめる』という決定を誰もできない。撤退ができない国なんです」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら 【前編はこちらから】特別公開:坂龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」 震災のことは、一日も忘れたことはない ――東日大震災からすこし時間が経って(インタビュー時は2013年)、社会が平熱に戻った感じがします。被災地では、被災地だからこそ「ようやく震災や原発のことは考えず穏やかに過ごせる時間が増えた」という方もいるようですね。 坂:うーん……。僕は、忘れるという感じはまったくありません。 ――時間が経つにつれて、ふだんの暮らしと「変えていかなくちゃ」という気持ちとをどう両立させていくのかが大切なテーマだと考えるようになってきました。安倍政権に代わってから「原発を動かそう」というムードが強まっていますよね。けれど「どんなふうに暮らしていけば、おなじことを二度

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー後編「この日本という国では『やめる』という決定を誰もできない。撤退ができない国なんです」|じんぶん堂
  • 古琉球王朝の歌謡集『おもろさうし』は何をうたうのか|じんぶん堂

    記事:平凡社 『おもろさうし』編纂を主導した第二尚氏王統が眠る陵墓「玉陵(たまうどぅん)」。尚真王の在位に築かれ、現在は国宝に指定されている 書籍情報はこちら 2023年1月25日刊、真喜志瑶子著『古琉球の王宮儀礼とおもろさうし』(平凡社)。写真提供=東京印書館 王宮儀礼歌としての「オモロ」 古琉球期16世紀頃、王府による討伐に敗れた者たちのなかに、王府の奉仕者、とくに王宮儀礼における御拝者(祀り人)となった者たちがいたと推測される。書は、かれらが何者であり、そこで何を行っていたのか、その実態を、祭祀歌謡集『おもろさうし』所収の王宮儀礼歌を中心において考える。 史料的制約のあるなかで、より高い可能性を示すことを目指すひとつの試みである。 もう少し詳しくみていこう。古琉球では、尚しょう真しん王(在位1477~1526年)による、久米島・八重山征伐や、次の尚しょう清せい王の(在位1527~1

    古琉球王朝の歌謡集『おもろさうし』は何をうたうのか|じんぶん堂
  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら バッハの「マタイ受難曲」を聴くと、まさに「音楽に救われる」という感じがする ――東日大震災と原発事故はだれしもにとってたいへんショッキングなできごとだったと思います。坂さんはどうお過ごしでしたか。 坂龍一:うーん……、直後はやっぱり、音楽を聴く気になれませんでした。 ――音楽家の方でも、音楽が聴けなくなるんですか。 坂:ええ、(音楽家には)きっとそういう人は多いと思いますよ。それで、ずいぶんと経ってから……、ひと月ほど経ってからかな、やっと聴いてみようかなと思ったのは。 ――そのときに、慰めや励ましになったもの、あらためて立ちかえったものってありますか。 坂:それは、やっぱりどうしてもバッハの「マタイ受難曲」です。僕のまわりの音楽好きでも同じようにいう人は多いけれど、やっぱり特別な曲ですね。「また

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂
  • 「ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害」猪谷千香さんインタビュー 根深く見えづらい構造、対策は?|好書好日

    猪谷千香(いがや・ちか) 東京都出身。明治大学大学院修了。産経新聞文化部記者を経た後、ドワンゴのニコニコ動画ニュースを担当する。2017年から弁護士ドットコムニュース編集部で記事を執筆している。おもな著書に『つながる図書館』(筑摩書房)『町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト』(幻冬舎)などがある。 美大生は約75%が女性、教授は男性が80% ――「ギャラリーストーカー」とは、画廊などでおもに女性作家に付きまとう男性とのことです。そもそもなぜ、ギャラリーストーカーについて取材をしようと思ったのですか? もともと美術が好きで、いち美術ファンでもあったんですが、津田大介さんらによる「あいちトリエンナーレ2019」の記者会見に出まして。そこで美術業界のジェンダーバランスが非常に男性優位で、女性が弱い立場に置かれていることが発表されました。薄々は感じていた違和感が、データ化されたこと

    「ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害」猪谷千香さんインタビュー 根深く見えづらい構造、対策は?|好書好日
  • 不当な支配に服することなく―映画「教育と愛国」が問うもの 松本創さん寄稿|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 映画教育と愛国」を監督した斉加尚代さん(毎日放送報道情報局ディレクター) 書籍情報はこちら 日の学校は心を育てるところではない。政府が選んだ事実や認められた思想のみが教えられる。教育の目的は、同じように考える子どもの大量生産である 公開中のドキュメンタリー映画教育と愛国」(斉加尚代監督)の冒頭、古いモノクロ映像とともに英語のナレーションが流れる。太平洋戦争末期にアメリカで作られた国策映画。そこに映る日の戦時教育は確かに異様だ。だが、これは敵国への恐怖と憎悪を煽るプロパガンダに過ぎないのだろうか。77年前に終わった過去だと片づけられるだろうか──。 右派の標的になり教科書会社は倒産、学校には大量の抗議はがき 「教育と愛国」は、大阪の毎日放送(MBS)で記者/ドキュメンタリーディレクターとして20年以上学校現場を取材してきた斉加監督が、2017年に制作した同名の番組をも

    不当な支配に服することなく―映画「教育と愛国」が問うもの 松本創さん寄稿|じんぶん堂
  • 図書館の可能性 知のアーカイビング、今こそ 東京大学名誉教授・根本彰|好書好日

    天井から下がる天蓋(てんがい)が目を引く岐阜市立中央図書館。2015年、複合施設内に開設した この19日から国立国会図書館によるデジタル化資料の個人向けネット送信サービスが始まり、20世紀中葉までの絶版等の資料209万点がネット上で読めるようになっている。欧米では図書館や文書館など公的セクターが担ってきた知のアーカイビング(保存・提供)が日でも身近なものになってきた。 リチャード・オヴェンデン著『攻撃される知識の歴史 なぜ図書館アーカイブは破壊され続けるのか』は、図書館や文書館に蓄積された知が災害や戦争ほかの人為的な破壊によって常に危機にさらされてきたと述べる。日でも震災や津波で図書館や博物館が破壊され、それを復旧するボランティア活動が行われたし、第二次大戦時に図書館員が蔵書を疎開させたことが知られている。 書は、知の意図的破壊が歴史的に横行し続けてきたことの報告であるが、著者が

    図書館の可能性 知のアーカイビング、今こそ 東京大学名誉教授・根本彰|好書好日
  • 祝「うる星やつら」アニメ化、高橋留美子さんインタビュー! SF、ギャグ、学園もの…なんでもありの世界だっちゃ|好書好日

    高橋留美子(たかはし・るみこ)漫画家 1978年、『勝手なやつら』でデビュー。以来、少年漫画誌を中心に、40年以上第一線で活躍。81年、『うる星やつら』で第26回小学館漫画賞少年部門、87年に第18回星雲賞コミック部門を受賞。89年に『人魚の森』で第20回星雲賞コミック部門、2002年に『犬夜叉』で第47回小学館漫画賞少年部門を受賞した。ほかに『めぞん一刻』『らんま1/2』など多数のヒット作があり連載作品のほとんどがテレビアニメ化されている。20年、紫綬褒章を受章。現在は「週刊少年サンデー」で『MAO』を連載中。 筒井康隆の小説が根に ――高橋留美子さんは来年で画業45周年を迎えます。ほぼ休載なく活躍を続け、連載作はすべて大ヒット。2020年に紫綬褒章を受章しました。高橋さんが漫画を描くことに興味を持ち始めたのはいつですか? 幼少期から漫画雑誌を読み、小学6年生の時、初めて描いた4コマ漫

    祝「うる星やつら」アニメ化、高橋留美子さんインタビュー! SF、ギャグ、学園もの…なんでもありの世界だっちゃ|好書好日
  • 福井県立図書館「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」インタビュー レファレンスサービスは、なんでも聞いていいんです!|好書好日

    宮川陽子さん福井県立図書館 司書 1998年から福井県立図書館で司書として勤務。現在の担当分類は、建築や機械工学、家政学などを扱う「5類 技術」(日十進分類法)。読書バリアフリーサービスや寄贈図書の管理なども行なっている。同館の「覚え違いタイトル集」の発案者でもある。 福井県立図書館「覚え違いタイトル集」 レファレンスサービスの認知向上のために ――「覚え違いタイトル集」は、どういった経緯で生まれたのですか。 そもそもの始まりは大学時代の後輩が久世番子さんの漫画『暴れん坊屋さん』を勧めてくれたのがきっかけかもしれません。久世さんが書店でバイトをしていたときのことを描いた漫画で、お客さんが覚え違えているタイトルから「これですね」と正しいタイトルのを渡すシーンがあったんですよね。それを見て図書館のカウンターでも似たようなことがあるという話から、エクセル表で覚え違いの事例を集めていくことに

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  • あの本をなぜ紹介できなかったのか 朝日新聞文芸担当記者が語り尽くす第2回「とっておきすぎ読書会」後編|好書好日

    >第2回「とっておきすぎ読書会」前編はこちら 笙野頼子『沼』(ステュディオ・パラボリカ) 山崎 2巡目に行きましょう。笙野頼子さんの『沼』です。 野波 これもタイトルからしていい。 山崎 すごかったです。私小説の真骨頂だし、文学の金字塔になると信じて疑わない。 野波(好き) これは読まねば。 山崎 ざっくり紹介すると、拾ってきたのために一軒家を買った私小説家の〈私〉が主人公です。印旛沼のそばに家を買って、そこに拾ってきたたちと一緒に暮らしていたんだけれど、生活は優雅というわけではなくて、ローンを払ってを養うのが生活費の大半だという。しかもリウマチ系の難病を患った〈私〉が、やっとこさと一緒に生きているという前提がある。過去に何匹もを拾って飼ってきたんだけれども、この小説の現在は、いったん拾ってきたたちすべてと死に別れて、その後でシェルターから老の〈ピジョン〉をもらい受

    あの本をなぜ紹介できなかったのか 朝日新聞文芸担当記者が語り尽くす第2回「とっておきすぎ読書会」後編|好書好日
  • あの本をなぜ紹介できなかったのか 朝日新聞文芸担当記者が語り尽くす第2回「とっておきすぎ読書会」前編|好書好日

    半年以上、「放置」してしまったたち 山崎 いずれ紹介したいと思っていたけれど、紹介できないまま刊行から半年以上が経ってしまったを総まくりする「とっておきすぎ読書会」、半年ぶりの第2弾です。 中村 この企画を「とっておきすぎ」てますね(笑) 山崎 読書会の流れとしては、どうやってそのを知ったのか、なぜ紹介しそびれたのかをおさえたうえで、それぞれグッときたポイントを話して、わちゃわちゃしたいと思います。ということで、まずは私から。『植物園の世紀 イギリス帝国の植物政策』です。 川島昭夫『植物園の世紀 イギリス帝国の植物政策』(共和国) 野波 タイトルからしておもしろそうだよね。 山崎 これは書店を巡回中に見つけました。 中村 どういう棚で? 山崎 人文書の棚です。すてきな装丁に目を引かれて手に取った。読んでおもしろかったんですけど、どうにもできなかったのは、著者が刊行に間に合わず、ご病気

    あの本をなぜ紹介できなかったのか 朝日新聞文芸担当記者が語り尽くす第2回「とっておきすぎ読書会」前編|好書好日
    kaeru-no-tsura
    kaeru-no-tsura 2021/10/01
    ファン・ジョンウン『ディディの傘』のところ、野波氏がひどくないか? 追記)書き換えられてた
  • そんな生き方があるのかという素直な驚きを正味150回味わえる 岸政彦編『東京の生活史』|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 撮影: 岸政彦 書籍情報はこちら 自分はこれまで誰かの人生をこんなふうに聞きとったことがあっただろうか。『東京の生活史』を読み終えて、かつて感じたことのない気分に圧倒されているとそんな疑問が浮かんでくる。考えてみたら肉親や友人でも、生まれてこの方どんな生活を送ってきたのかをよく知らない。それがどうだろう、このときたら! なにしろ東京にゆかりのある150人の人びとの、文字通り唯一無二の細部に満ちた人生が1200ページにわたって畳み込まれているのだ。 書名にある「生活史」とは、社会学や人類学で用いられる調査の手法のこと。「ライフヒストリー」ともいう。詳しくは書の編者で、自身も社会学者として生活史を実践してきた岸政彦の『マンゴーと手榴弾――生活史の理論』(勁草書房)などをお読みいただくとして、ここでは個人の人生を語りやその他の資料によって捉えようとする試みと大まかに理解してお

    そんな生き方があるのかという素直な驚きを正味150回味わえる 岸政彦編『東京の生活史』|じんぶん堂
  • 差別や偏見を隠した「ずるい言葉」を解説 社会学者・森山至貴さんインタビュー|好書好日

    文:篠原諄也 写真:斉藤順子 森山至貴(もりやま・のりたか)社会学者 1982年神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻助教、早稲田大学文学学術院専任講師を経て、現在、同准教授。専門は、社会学、クィア・スタディーズ。著書に『「ゲイコミュニティ」の社会学』(勁草書房)、『LGBTを読みとく―クィア・スタディーズ入門』(ちくま新書)。 世の中の「ずるい言葉」はどこか差別に通じている ――森山さんは大学で学生さんに「自分が言われてモヤモヤした言葉」をヒアリングしたそうですね。特にどのような基準で選びましたか? 読者にとっての取っ掛かりが多いにしたかったので、特定の学問分野やジャンルの話だけにならないよう心がけました。女性差別やセクシュアルマイノリティ差別の事例だけでなく、血液型、障害者、ひとり親家庭などの話題も取り上げています。 ただ、どんな話題を選んでもやはりどこかで差別

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  • 【半藤一利×青木理 対談】歴史は繰り返すのか? 『世界史のなかの昭和史』より|じんぶん堂

    記事:平凡社 半藤一利氏(右)と青木理氏(左)。平凡社総合文芸誌『こころ』Vol.42掲載の対談記事より転載。(撮影=川島保彦) 書籍情報はこちら 欧米列強の政略や戦略に翻弄された昭和の歴史を「世界史の視野から」「現代の視点で」時系列に辿った“半藤昭和史”完結篇 『世界史のなかの昭和史』。書の平凡社ライブラリー版に収載された青木理氏との対談では、政治やメディアによって煽られた国民の侮蔑感情が、取り返しがつかない結果につながってしまうことに警鐘を鳴らしている。 侮蔑感情の因果関係 青木 書の中で他にも印象的だったのは、大正末ぐらいから、中国人に対する日人の侮蔑のような感情が「民草」にも非常に広がっていたという部分です。「民草は怪(け)しからんにも程があると敵愾心(てきがいしん)をつのらせる、なかば侮蔑を加えながら」と書かれていますね。つまり、敵対する国や民族に対して人びとが侮蔑まじりの

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  • 生きやすい街を求めて。ドイツ移住の日々を描く香山哲さん「ベルリンうわの空」インタビュー|好書好日

    文:小沼理、写真:人提供 香山哲(かやま・てつ) 1982年、兵庫県生まれ。2008年から漫画、絵、デザイン、文章、アプリやソフトウェア開発をフリーで行う。01年からやソフトウェアなどを発行するレーベル「ドグマ出版」を主催。13年、「香山哲のファウスト1」が文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員推薦作品に。18年からドイツのベルリン在住。 土地によって生きやすさは変わる ――香山さんは2018年にベルリンに移住していますが、その前にいろいろな土地をめぐったそうですね。 「こういう気持ちで生活していたい」「自分がこうありたい」と思う生活や人生に近づくためには、環境の要素もすごく大きいと思っていて。できるだけ自分のことをスパークさせてくれる環境で暮らしたいと考えていました。 最初は日国内を転々としていて、高校まで兵庫県で育ったあとは大学進学のため長野、大学院でまた兵庫。仕事をはじめてからは

    生きやすい街を求めて。ドイツ移住の日々を描く香山哲さん「ベルリンうわの空」インタビュー|好書好日