最近リザヴェータは家の空気が変わったと感じていた。リザヴェータは17歳だが大学生なので、大学のある日は学生寮にいるのだが、大学が休みの日は実家にいる。今までであれば、リザヴェータが実家に戻ると、カチェリーナが姿を現すことが多かった。まるでリザヴェータの帰宅を待ちかまえていたかのように、廊下の向こうからカチェリーナがやってくるのである。一日中カチェリーナのことを考え、カチェリーナに心酔し、カチェリーナの絵ばかり描いているリザヴェータとしては、これがとても嬉しかったのである。しかし最近はカチェリーナが近寄ってこない。帰宅時に出迎えないだけでなく、リザヴェータの部屋にもやってこない。それではカチェリーナがどうしているかというと、妹のグルーシェンカの御機嫌取りをしているのだ。以前はこのふたりは仲睦まじいわけでもなく、お互いをリスペクトしつつも反発しているような関係だったのだが、このところは妙にベタ