田母神俊雄氏(防衛省航空幕僚長空将)の論文「日本は侵略国家であったのか」の中から「判断」を直接語っているように読める部分を探し出し、その「判断」が導かれる過程の論理展開を考えてみようかと思う。まず最初の考察の対象となるのは次の文章だ。 「現在の中国政府から「日本の侵略」を執拗に追求されるが、我が国は日清戦争、日露戦争などによって国際法上合法的に中国大陸に権益を得て、これを守るために条約等に基づいて軍を配置したのである。」 この文章が「判断」を語っていると解釈したのは、文章の終わりに「で」「ある」という「肯定判断」を示す助動詞が使われているからだ。これは「判断」を直接言葉によって表現している。文脈から、何らかの「判断」をしていると解釈できるのではなく、「判断」そのものが直接表現されていると考えられる。 この「判断」が提出される前段では、軍隊の駐留の正当性を「二国間で合意された条約」に求めてい