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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (7)

  • 書評 「社会科学の哲学入門」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    社会科学の哲学入門 作者:吉田敬勁草書房Amazon 書は科学哲学の中で特に社会科学の哲学についての入門書だ.私は社会科学についても哲学についてもあまり詳しくはない.そして最近読んだ進化政治学のにおいては著者が実在論にずいぶんコミットしているものの私が理解している科学哲学の実在論とはややニュアンスが異なるような印象もあってややもやもやしていたので,この際勉強しておこうと手に取った一冊になる.著者は科学哲学者で社会科学の哲学を専門とする吉田敬になる. 序章 社会科学の哲学を学ぶとはどういうことか まず書の目的について,社会科学の哲学という分野がどのようなものであり,どのような議論が行われているかを紹介するものだとしている. そこから序章における概念整理がある. 科学哲学の問題領域には論理学(推論の方法は正しいかなど),認識論(知識とは何かなど),形而上学(扱う対象は実在するのかなど),

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    kaionji
    kaionji 2024/03/10
  • 書評 「アメリカン・ベースボール革命」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    アメリカン・ベースボール革命: データ・テクノロジーが野球の常識を変える 作者:ベン・リンドバーグ,トラビス・ソーチック化学同人Amazon 書は「マネー・ボール」に始まるメジャーリーグにおける数理統計やデータサイエンスの応用の最新動向を扱ったになる.著者はベン・リンドバーグとトラビス・ソーチック.いずれもジャーナリストで,ソーチックは「ビッグデータ・ベースボール」の著者でもある. メジャーリーグにおける格的な数理統計の応用は「マネー・ボール」で紹介されたセイバーメトリクスの利用から始まる.これは選手の能力や貢献を測るためには伝統的な成績指標(打率,打点など)よりも有効な指標(長打率,出塁率など)があることを理解し,フリーエージェント市場で割安に選手を調達し,強いチームをつくることを目指したものだ.しかしこの手法の有効性が多くの球団に認められると優位性はなくなる.次に現れたのは「ビッ

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    kaionji
    kaionji 2021/08/14
  • 書評 「逆転の大戦争史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    逆転の大戦争史 (文春e-book) 作者: オーナ・ハサウェイ,スコット・シャピーロ,船橋洋一・解説出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2018/10/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 書は法学者であるオーナ・ハサウェイとスコット・シャピーロによる,なぜ第二次世界大戦後主要国同士の大きな戦争が激減したのかについて法政治思想史的に解明しようというテーマのになる. この第二次世界大戦後の戦争激減(暴力減少)について,ピンカーは「The Better Angels of Our Nature」(邦題「暴力の人類史」)において「長い平和」と名づけ,それを可能にした要因を民主制,国際貿易,国際機関に求め,さらにそうなった要因についてモラルの輪の拡大と歴史に学ぶ態度だと位置づけている.著者たちは,このピンカーの議論は国際法体系,および法思想的な視点が希薄だと考えて書を

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  •  「かくて行動経済学は生まれり」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    かくて行動経済学は生まれり (文春e-book) 作者: マイケル・ルイス出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/07/14メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書はアメリカの人気ノンフィクションライター,マイケル・ルイスの手になるカーネマンとトヴェルスキーの物語だ.マイケル・ルイスはソロモンブラザースの債券部門で働いた後,1989年,インベストメントバンクの内幕もの「ライアーズ・ポーカー」によりノンフィクション作家としてデビュー.しばらくはファイナンスや投資の世界を題材にしていたが,2003年「マネー・ボール」でスポーツの世界にも進出,リーマンショック後はまたファイナンスものを多く残してきた.私も彼の作品をすべて読んだわけではないが,ファイナンスものは業界事情の背景知識があって迫力があるし,スポーツものもそれまであまり採り上げられていない通好みの話題

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    kaionji
    kaionji 2017/08/07
  •  「日常の疑問を経済学で考える」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    日常の疑問を経済学で考える 作者: ロバート・H.フランク,Robert H. Frank,月沢李歌子出版社/メーカー: 日経済新聞出版社発売日: 2008/02/01メディア: 単行購入: 3人 クリック: 73回この商品を含むブログ (18件) を見る 感情の進化適応的な機能についてコミットメントから考察した名著「オデッセウスの鎖」の著者,経済学者のロバート・フランクの新刊である.フランクは進化心理学的な思考方法を取り入れたをほかにも何冊か出していて,書もとりあえず著者だけ見て購入した次第である. 結論から言うと書は一般人向け,学生向けの経済学の紹介書になっていて,進化心理学的な切り口はところどころに現れているだけだ.経済学書としては,大変わかりやすい日常の疑問から,その裏にある限界コストと限界効用などの経済学的なトピックを考えていこうという取り組みで,ヒトは物語形式の知識が

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  •  「天敵なんてこわくない」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    天敵なんてこわくない―虫たちの生き残り戦略 作者: 西田隆義出版社/メーカー: 八坂書房発売日: 2008/06/01メディア: 単行購入: 4人 クリック: 51回この商品を含むブログ (4件) を見る 書は昆虫生態学者の西田隆義による自らの研究物語だ.2008年の出版.八坂書房という小さめの出版会社から出されていたためか当時見逃していたのだが,昨年出版された共立出版の「行動生態学」の捕回避の章で紹介されていたので読んでみた. 著者の最初の問題意識は個体群生態学的なもので,ある生物種の個体数変動を天敵が抑えるという現象はなぜ生じるのかというところから始まる. 数理的にはロトカ=ヴォルテラ方程式のような形で天敵は被者の爆発的増加を抑えることができるし,有名なカナダのタイガにおけるオオヤマネコとカワリウサギのサイクル的な増減の報告もあるのだが,実はこのリサーチはその後の追跡では怪しい

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  •  「孤独なバッタが群れるとき」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生 (フィールドの生物学) 作者: 前野ウルド浩太郎出版社/メーカー: 東海大学出版会発売日: 2012/11/01メディア: 単行購入: 31人 クリック: 976回この商品を含むブログ (28件) を見る 書はサバクトビバッタの研究者,前野 “ウルド” 浩太郎によるサバクトビバッタの相変異に関するである.最近立て続けに面白いを出している東海大学出版会の「フィールドの生物学」シリーズの最新刊. トノサマバッタとサバクトビバッタは一定以上個体密度が高くなると相変異を起こして群生相になり大集団で長距離を飛行し,飛来地の植物そして農作物を根こそぎにすることが知られている*1.これは古来から大厄災として記録に残され,中国では「蝗」と呼ばれて恐れられてきた*2.しかしこれが普段はおとなしい緑色のバッタの相変異したものだということが知ら

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