日本人の死因で最も多い「がん」。近年、革新的な抗がん剤が登場する一方、こうした新薬は価格が高く、医療現場で処方が増えると、その分、国の財政が圧迫される構図が続いています。こうした中、患者に投与された後、使い切れずに廃棄された抗がん剤が年間730億円余りにのぼるという試算を専門家がまとめました。なぜ、高額な抗がん剤がこれほど、廃棄されているのか。国の対策は?(政治部 厚生労働省担当記者 奥住憲史) 厚生労働省の担当になり3か月が過ぎようとしていた11月初めの午後。厚生労働省9階の記者クラブのブースで、私は山積みになった資料に目を通しながら、次の取材テーマに思いをめぐらせていました。 そこへ、けたたましく鳴る1本の電話。「使い残しの薬=残薬」に関する情報でした。「余った抗がん剤が医療機関で廃棄されているなんて、本当だろうか?」 詳しい事情を飲み込めないまま、手探りの取材が始まりました。 「42
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