日韓両国民の心のひだにトゲのように突き刺さった慰安婦問題。日本に伝わってくる情報では、昨年末の日韓合意にもかかわらず、韓国世論はこの問題が解決したとは、みじんも思っていないようにみえる。むしろ、「蒸し返し」の可能性さえあるらしい。ところが、韓国の各種世論調査を子細に分析すると、こうした見方はかならずしも核心を突いていないと、浅羽教授は指摘している。果たして、この問題を解決する処方箋はあるのか。そのヒントになる「韓国人の本音」について、浅羽教授に寄稿してもらった。 慰安婦問題は、韓国や日韓関係に関する議論の中でも特に、「通説・俗説」がはびこっている。感情的にならず、論理的かつ衡平に、物事を見ることが重要である。そのためには、自分のかけているレンズが合っているかどうか、認識の枠組み自体を徹底検証する必要がある。小論では、日韓「慰安婦」合意をめぐる韓国世論を素材に、世論調査の読み解き方、ひいては