諸用あり帰省した。 祖父母の元気がいよいよなくなってきているという母親の脅しもあり、高い飛行機のチケットを買った。 「実家で羽を伸ばしてきてね」 という同僚たちの声かけがありがたかったが、帰省には内心うんざりしていた。落ち着けないなと思った。自分がこの世で心底落ち着ける場所は、もはや東京都北区6畳ワンルームの寝床のなかだけな気がしていた。 家族はあまりきれい好きではなくて、というか掃除が大嫌いだから、実家は埃まみれで汚い。もともと自分は不潔な子供だったと思う。お風呂も2日に1回だったが、それが当たり前だと思っていた。 けれども実家がゴミ屋敷めいて汚くなり始めたのは、大学進学に伴って家を出てからだ。自分が関東の大学に進学し、学費のため母親が働くようになり、家の隅々まで気がまわらなくなり汚くなった。つまりは自分のせいだ。 学生となり帰省したある夏、自分の部屋に、お菓子を食べたあとのごみがうず高
![実家を大掃除した](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1638cdb5807a4788e4ba3c1109a984166e095fc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fanond.hatelabo.jp%2Fimages%2Fog-image-1500.gif)