ハエトリグモ(Salticidae)の中には、獲物となるクモの巣の上を歩き、もがいている獲物をまねて他のクモを食べるものがいる。これは、クモが獲物をおびき寄せるために進化した、多くの創造的な方法のひとつにすぎない。(PHOTOGRAPH BY JAVIER AZNAR GONZALEZ DE RUEDA, NAT GEO IMAGE COLLECTION) クモの多くは獲物が自身の巣にかかるのを待っているが、獲物が巣にかかるのを運に任せないクモもいる。獲物を安全地帯からおびき出し、罠にかける巧妙な技をもっているクモたちだ。 「まさしく感覚の世界です」とカナダ、ケベック大学モントリオール校の行動生態学者ピエール・オリビエ・モンティグリオ氏は言う。「みなが常に盗み聞きをしたり、合図を送ったり、情報を生み出したり、何らかの方法でその情報を伝えたりしているのです」 クモは外見や匂い、触覚を巧妙に利