「六番目の大量絶滅」、「生命史上最悪の絶滅規模」、「100万種の絶滅危惧種」……多くの生物学者が、生物多様性の喪失の深刻さを強く訴える言葉を使っています。いずれも、現在の地球で起きている現象を言い表すものです。私たち人間の活動が未曾有の大量絶滅を引き起こしていることが明らかになっています。 上に示したような強い言葉を見聞きし、「生物多様性の喪失は、めぐりめぐって人類に悪影響を与えるのではないだろうか?」という不安にかられている人もいるかもしれません。この疑問に対して、『〈正義〉の生物学』を上梓した山田俊弘氏に“生態系サービス“の観点から解説していただきました。 生態系・生態系機能・生態系サービス 地球上のどんな生物も単独で生きているわけではありません。ほかの生物と互いに影響を及ぼし合いながら生きています。それだけではありません。生物を取り巻く非生物環境(光や水、酸素、二酸化炭素、栄養塩など