研修医のみなさん,あけましておめでとうございます。レジデント・ライフはいかがでしょうか? 病院選びに失敗して後悔,手技が下手で怒られてばかり,コミュニケーションがうまくとれない……。でも大丈夫。研修医時代の失敗は誰もがたどる道。倒れるごとに起き上がれば,そのうち未来は見えてきます。 新春企画として贈る今回は,昨年に引き続き,人気指導医の先生方に,研修医時代の失敗談や面白エピソードなど“アンチ武勇伝”を紹介してもらいます。 「未熟」だった。だから「懸命」だった。 藤田 芳郎(トヨタ記念病院 腎・膠原病内科部長) (1)「何よ,あなた,失礼な!」と,当番の3人の研修医が立って採血している,あふれんばかりのひといきれの検査室のなかで,中年女性の怒鳴り声が,私の医師としてのはじまりであった。生身の人間の体に針をさすということが怖くて,やや脂肪が厚い皮膚の中の青い血管をめざして,おそるおそる震える手