もちろんイギリスにCBBという放送局はなく、ジョージ・ポットマンという歴史学者も実在するものではなく、役者が演じているのである。この番組は架空の外国人を狂言回しに仕立てることで、ゲームの「バグ」と「茶の湯」をつなげるなどといった知的エンターテイメントを成り立たせたのであった。 SNSで盛り上がった「神学者カール・レーフラー」事件 この番組を持ち出したのは「神学者カール・レーフラー」事件があったからだ。もっとも、こちらはアカデミズムの世界の出来事であるのだが。 ことのあらましはこうだ。東洋英和女学院・前学長の深井智朗の2012年に著した学術書に、カール・レーフラーなる神学者による論文「今日の神学にとってのニーチェ」(1924年)が4ページにわたって紹介される。それに疑問をもった研究者が検証を重ね、公開質問をしたのをきっかけに、同大学は調査委員会を発足し、そういった人物も論文も実在しないと結論