さて、電王戦もいよいよファイナルである。どうやら今の形の団体戦形式でやるのは最後ということらしい。都合三期にわたったわけだが、棋士側の感覚は期ごとにかなり違ったように思う。 一期目の時は、誰かは負けるんだろうが、自分がババを引くのだけは嫌だ、という感じであった。二期目は、皆はじまる前から暗かった。一局目に菅井が完敗して暗さに拍車がかかった。あの対局の二日後に及川君と上田さんの結婚式があったのだが、わんさか集った棋士は皆ひそひそ声ではなした。「駄目だこりゃ」 そして三期目である。もう駄目かと若手に訊くと、今期はかなりやれるんじゃという。メンバーもさることながら、棋士がコンピュータの対策に長けてきたのではないかというのだ。 たしかにこれまでは、対策といっても何をどうしていいのかがつかみにくかった。やっと、そのあたりの微妙な感覚が分かってきたのではないだろうかというのである。もうひとつ良いのは、
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