感情は、人間の能力発揮にどんな影響を与えるか。明るく、楽天的な気分の時と、怒りや恐怖におおわれている時とでは、どのような違いがあるのか。 こういった内容について、これまでの仮説を実験で検証した心理学の論文を読む機会があった。ミシガン大学のフレドリクソン氏とブラニガン氏が、2005年に発表した論文だ。(Positive emotions broaden the scope of attention and thought-action repertoires by Barbara L. Fredrickson and Christine Branigan, 2005, Psychology Press) 元々、経験的な証拠や仮説として、次のようなことが言われてきたのを、ご存じの方もいらっしゃるだろう。 「人間はネガティブな感情に襲われた場合、限られたことだけを認知し、それに集中する傾向がある