ブックマーク / webronza.asahi.com (10)

  • 断絶を招く正しさの暴力 - 高山明|論座アーカイブ

    「あいちトリエンナーレ」 2019年の「あいちトリエンナーレ」(以下「あいトリ」)は「表現の自由」をめぐって大騒動を引き起こした。あいトリの中で独立した展覧会として催された「表現の不自由展・その後」(以下、「不自由展」)は、「電凸」の影響を受けて公式オープン3日で閉鎖され、閉鎖に反対した作家たちは作品展示をボイコットし、あるいは、ボイコットせずに展示の再開を目指した「ReFreedom_Aichi」という運動が始まり、いったん採択の決まった文化庁の補助金が「全額不交付」とされ(のちに減額交付を発表)、国が「表現の自由」に介入する事態にまで発展した。あいトリの会場には連日のように右翼が街宣車で乗りつけ、演説を打ち、反対する勢力と衝突し、警察の姿を見ない日はなく、施設内も異様な緊張感に包まれていた。芸術祭が様々な暴力を呼び込み、それらが複雑に交差する場になったように感じた。暴力全般について論じ

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    kanflu 2021/03/25
  • 私はなぜ文化庁委員を辞めたのか【下】 - 野田邦弘|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

    文化庁が「あいちトリエンナーレ」への補助金の全額不交付を決めたことを批判して、補助金の審査委員を辞任した鳥取大学特命教授の野田邦弘さんによる論考の2回目。経緯と問題点を整理し考えた前回に続き、愛知県やアーティストらが起こしたアクションや、社会の中での芸術と公的支援のあり方を考え、将来を展望する。 迅速に動いたアーティスト、市民、愛知県 「あいちトリエンナーレ2019」(8月1日~10月14日)では、その一部である「表現の不自由展・その後」(以下「不自由展」という)が、テロ予告ともとれる内容を含む多くの抗議のメール、電話、ファックスを受けて、8月4日から、一時中止を余儀なくされた。 愛知県は「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」を設置し、第1回会合を8月16日に開催した。 委員は 国立国際美術館館長・山梨俊夫(座長) 慶應義塾大学総合政策学部教授・上山信一(副座長) 美術館運営・管理研究

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    kanflu 2019/10/28
  • 私はなぜ文化庁委員を辞めたのか【上】 - 野田邦弘|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

    多くの市民、芸術関係者、研究者らが強く抗議している「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付。この問題の質はなにか。文化庁のやり方を批判して、補助金の審査委員を辞任した鳥取大学特命教授の野田邦弘さんに、文化政策、地方自治、表現の自由など多様な観点から、2回にわたり、くわしく読み解いてもらった。事実を整理し、問題点を洗い出し、将来を見通す、「あいトリ補助金問題」について考えるための基礎となる論考。 補助金はどのように募集され、採択されたのか 「あいちトリエンナーレ2019」が10月14日に終了した。「表現の不自由展・その後」(以下「不自由展」という)の展示が中止された話題性も手伝い、入場者は65万人を超え、過去最高となった。 しかし、「不自由展」中止に至る問題点は十分明らかになっておらず、どこに問題があったかも結論が出ていない。文化庁は「不自由展」の一時中止を理由に、補助金の全額を不交付とし

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    kanflu 2019/10/28
  • 東大教員有志が「あいち」不交付に抗議したわけ - 加治屋健司|論座アーカイブ

    東大教員有志が「あいち」不交付に抗議したわけ 学問の自由への懸念、国の信用にもかかわる 加治屋健司 東京大学大学院准教授 10月9日午後、東京大学教員有志167名の連名で、「文化庁によるあいちトリエンナーレへの補助金の不交付決定に対する東京大学教員有志の声明」を、萩生田光一文部科学大臣と宮田亮平文化庁長官宛てに送付した。 声明は、文化庁が、「あいちトリエンナーレ」の一部である「表現の不自由展・その後」が一時公開できなくなったことを理由に補助金を全額不交付とする決定をしたことに強く抗議し、不交付決定の取り消しを要望する内容である。 声明を出すことになった背景には、今年5月に東大に発足した芸術創造連携研究機構(以下、芸術機構)の存在がある。 芸術機構は、七つの部局(学部・研究科など)が連携する横断的な組織で、多様な分野の研究者が連携して、芸術家との協働・連携も行いながら、芸術創造に関する分野融

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    kanflu 2019/10/15
  • 「文化守らぬ文化庁」今も昔も - 石川智也|論座アーカイブ

    文化守らぬ文化庁」今も昔も トリエンナーレへの補助金不交付に、映画『靖国 YASUKUNI』李監督は何を思う 石川智也 朝日新聞記者 イチャモンとしか言いようがない補助金不交付 相変わらずだな。まずそう思った。文化庁のことだ。 「表現の不自由展・その後」はおよそ2カ月ぶりの再開に向けて新たな局面を迎えたが、問題はなんら解決していない。大村秀章・愛知県知事が展示再開の意思表明をした翌日、文化庁は不自由展を含む「あいちトリエンナーレ2019」全体に対する補助金7800万円全額の交付を取り消した。 言うまでもなく、今回のトリエンナーレ実行委は被害者だ。 事前に警察と相談し、警備を手厚くしたり撮影を禁じたりすることで不自由展の開催は可能と判断していた。明らかに犯罪である脅迫や想定外のテロ予告に対して前もって予測し申告しなかったなどという理由をいまさら持ち出すのは、イチャモンとしか言いようがない。

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    kanflu 2019/10/04
  • 千数百年の時を超え川上弘美の新作に「転生」 - 有澤知世|論座アーカイブ

    「江戸時代の絵画や読み物を研究しています」 そう自己紹介すると、よく「古典苦手だったんだよね」という反応がかえってくる。時には関心を示してくれる人や、「古い物事を学ぶのは大切ですね」といってくださる人もいるが、多くの人は、古典の研究と、現代社会とは縁のないことのように感じているようだ。 しかし、文学研究や古典の世界は、当に現代社会とかけ離れたものなのだろうか。 古典は、21世紀を生きる私たちの生活や感性と繋がっている。現代、そして未来を考えることや、新たな芸術を創造することに結びつく、「生きている文化」なのだ。 それを、多くの人に実感してもらいたい。そして、さまざまな分野で活躍している人たちと一緒に、古典を通して現代に向き合いたい。そのために私は、「国文学研究資料館(通称・国文研)」(ロバート キャンベル館長)で「古典インタプリタ」として働いている。インタプリタとは「翻訳者」のことで、古

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    kanflu 2019/08/07
  • 「表現の不自由展」の中止が突きつけた重大な課題 - 米山隆一|論座アーカイブ

    「表現の不自由展」の中止が突きつけた重大な課題 「あいちトリエンナーレ2019」の目玉企画はなぜ中止されたのか。何を考えるべきか 米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士 企画展の中止に議論が沸騰 愛知県内で開催されている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、展示内容に対する多数の抗議が来たと報じられたのち、河村たかし・名古屋市長が中止を求め、その翌日には芸術総監督である津田大介氏が、警備上の懸念を主な理由として中止を発表したことが、大きな議論を巻き起こしています。寄せられた抗議にはFAXで「ガソリン携行缶をもって行く」というテロの予告とすら思える内容のものもあったと言います。 この件をめぐっては、SNS上では、表現の自由と政治・公金との関係等について様々な論点がみられました。そこで稿では、それらを整理して論じたいと思います。 政治的表現は「表現の

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    kanflu 2019/08/07
  • ろくでなし子裁判一審判決を受けて(下) - 林 道郎|論座アーカイブ

    3Dスキャナーについて 「ろくでなし子裁判一審判決を受けて(上)――「かつてはこうだった」という保守的な判断」(WEBRONZA) ろくでなし子裁判一審判決を受けて(中)――硬直した性器中心主義の反復(WEBRONZA) まず、基事実として再確認したいのは、ろくでなし子さん(被告)の今回の3Dデータ頒布は、「マンボート」という一人乗りカヤックを制作するプロジェクトの一環として行われたということだ。 そのプロジェクトのためにクラウド・ファンディングを利用した彼女は、支援者へのお礼としてダウンロード可能なネット上の保存先へのリンクを教え、数名がそこからデータをダウンロードしている。そして、画廊での展示の際に、ミニチュアの「マンボート」を購入してくれた数名に「おまけ」としてCDでデータを渡している。 つまり彼女は、問題の3Dデータをそれ自体として販売した事実はなく、あくまでも「マンボート」プロ

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    kanflu 2016/06/06
  • ろくでなし子裁判一審判決を受けて(中) - 林 道郎|論座アーカイブ

    判決後の会見で「一部無罪」の紙を掲げるろくでなし子(五十嵐恵)被告=2016年5月9日、東京都千代田区 まず、注目すべきは、弁護側がこの裁判でわいせつ物陳列を規定した刑法175条そのものの違憲性を問うたことだ。残念ながら判決では一蹴されてしまったが、かねて問題視されてきた刑法175条(その起源は明治時代!)が未だに存在していることの問題は根深い。 なぜなら、その条文の曖昧さと視覚情報の生産・流通をめぐる情報環境の複雑きわまりない変化が相まって、かえって官憲側に、思考停止ともとれるような、硬直した性器中心主義を反復する事態を招いているようにも思えるからだ。 実際、今回の判決でもその態度は踏襲されている。「デコまん」はポップアートの一種と考えられるかもしれないとして無罪になったが、判決要旨を読めば、力点が、その外観が女性器とはわからないように装飾されていることにあるのは容易に見てとれるし、それ

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    kanflu 2016/06/06
  • ろくでなし子裁判一審判決を受けて(上) - 林 道郎|論座アーカイブ

    ろくでなし子裁判一審判決を受けて(上) 「かつてはこうだった」という保守的な判断 林 道郎 美術史家、美術批評家 事実確認 すでに広く報道されているように、先日5月9日(月)、美術家ろくでなし子さん(被告)に対する判決が東京地裁で言い渡された。まず基礎的事実を確認しておくと、彼女は3件の事件について、「わいせつ」を規定した刑法175条に違反しているとして起訴された。列挙するとこうなる。 1)女性器の象(かたど)りをもとに装飾を施して制作した「デコまん」と名付けられた3点の創作物の陳列。 2)彼女自身の女性器の3Dデータをインターネット上のクラウド・システムを通して支援者に頒布。 3)同じ3Dデータの入ったCDを個展会場で数人の支援者に譲渡。 それぞれに該当する罪名は、「わいせつ物陳列罪」「わいせつ電磁的記録等送信頒布罪」「わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪」となっている。判決は、このうち1に

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    kanflu 2016/06/06
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