あたりまえだが、国境、県境など、土地を分ける境界線は目に見えるように地面に引かれてあるわけではない。あくまで概念上のものであって、決めるのは人間である。まっさらな空間に線を引いて分節化し、仕分けられた場所ごとに名前をつけ認識してゆく。人間による認識行動のひとつが地名なのである。最も没個性的なのは数字による識別だろうが、数字が付されず残った土地ですら、「網走番外地」のような名前を付けられて認識される。 地名の付け方は多種多様だ。普遍的な方法(土地の特色による)もあれば、地域的個性、歴史的個性がある。その地名がいかなる由来で名付けられたのかを知ることは、その地域がいついかにして人間に認識され空間として受け入れられたのか知る手がかりになり、名付けた人々の文化的特質をうかがうすべになる。 大学の生協書籍部をさまよっていたら、一冊の本が目に飛び込んできた。棚の目立つ位置に、つい手に取りたくなるように
![2006-09-08](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/06a15c64ba0ceec233d86d71001ebb29a9dcbf5d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.blog.st-hatena.com%2Fimages%2Ftheme%2Fog-image-1500.png)