ブックマーク / agora-web.jp (170)

  • 世界は「東京中心」には動かない!―「霞ヶ関」外交の限界

    政治主導を放棄した野田政権も、今回の日中、日韓騒動を直接経験して、しぶとい政治家が外交の指揮を執る多くの国の外交とは比ぶべきもない稚拙な官僚外交に驚いたに違いない。 日中関係と言えば、それとは比較にならない難問であった1972年当時の中米関係を、曲がりなりにも今日の関係に持ち込むには、キッシンジャー・ニクソンコンビ対周恩来・毛沢東コンビと言うたぐい稀な智恵者コンビの活躍があった事を忘れてはならない。 米国と外交関係を持たない当時の中国は「文化大革命の終結」「ベトナム問題を含む中米問題解決」「中国は米国の責任と富を分配させる体制を学ぶ用意がある」等々のシグナルを、毛沢東が自ら中国在住のジャーナリストのエドガー・スノーを使ってニクソン大統領に送り続けたと言う。 その頃の中ソ関係は、珍宝島を巡っての大規模な軍事衝突や新疆ウイグル自治区での軍事衝突勃発など、中ソの全面戦争や核戦争にエスカレートする

    世界は「東京中心」には動かない!―「霞ヶ関」外交の限界
  • JPモルガンが溶かした5000億円と巨大銀行のビジネスモデル

    先週の金曜日に発売され拙著『外資系金融の終わり』は、ファイナンスが専門ではない人にも面白いノンフィクションとして書かれている。しかし、アカデミックなテーマとして、筆者が多くの人に理解して欲しかったのが巨大銀行が引き起こすシステミック・リスクとモラルハザードという、現在、非常に大きな問題になっていることである。なぜなら、これは金融機関に勤めていないものであっても、知らず知らずのうちにさまざまな形で負担させられているものだからである。 今年、金融業界で多少話題になったことに(つまり大きな話題ではない)、JPモルガンがクレジット・デリバティブの自己勘定取引で大きな損失を出した事件があった。最初にニュースになった今年の5月の時点では2000億円程度の損失であったが、その損失はアッという間に5000億円以上に膨れ上がった。JPモルガンの社内ヘッジファンドのひとりかふたりのトレーダーがやっていたトレー

  • 書評:「慰安婦と戦場の性」・秦郁彦著−小さな嘘が全日本国民を不幸にするばかばかしさ : アゴラ - ライブドアブログ

    良書悪書 書評:「慰安婦と戦場の性」・秦郁彦著−小さな嘘が全日国民を不幸にするばかばかしさ / 記事一覧 慰安婦と戦場の性 新潮選書 1999年刊 慰安婦問題の基書 いわゆる「従軍慰安婦」問題が日韓外交の大問題になっている。その実態と、さらに政治問題化したプロセスを詳細に述べた、この問題の「基書」が秦郁彦氏の「慰安婦と戦場の性」だ。 しかし軍事史や当時の歴史背景の知識がない方には難しく、なまなましい描写があるので万人受けする内容ではないかもしれない。 思い込みと事実が異なる を読むと、「慰安婦問題」とはいったい何なのかと、徒労感、無力感を抱く。何でこれが政治問題になるのかが分からない。 韓国の人々は「数十万人の朝鮮人女性が軍と警察によって拉致、もしくは挺身隊の名目で連れ去られ、戦地に連行され、売春婦にさせられた」と思い込んでいるらしい。日でこの問題を90年代から騒

  • FRBの量的緩和(QE)とは金融機関への補助金である

    7日金曜日に米雇用統計が発表され、8月の非農業部門雇用者数は前月比9万6000人の増加と、市場予想の13万人程度から下振れした。また、7月の統計は14万1000人増に下方修正された。失業率は8.1%で、前月の8.3%から予想に反して低下したが、背景には職探しをあきらめた人が増えて労働力人口が36万8000人減ったことがある。アメリカの労働参加率は63.5%で、1981年以来の低水準に落ち込んだ。 米国の雇用情勢が悪いために、13日木曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)後にQE3が発表されるのではないかと市場関係者に期待されている。 (『外資系金融の終わり』P.21より抜粋) QEとはQuantitative Easingの略で量的緩和のことだ。第一弾のQE1は2008年11月~2010年6月までの期間に実施された。目的は、リーマン・ブラザーズ破綻による金融システムへの激烈なショックを吸収す

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  • 選挙が多すぎる

    小幡さんの記事は、それ自体としては間違っていないが、私の記事への批判になっていません。政治家にとって選挙に当選することが至上命令になるのはどこの国でも同じで、ハイエクも私もそれを批判しているわけではない。専制君主が決めろといっているわけでもない。インセンティブ理論の言葉でいえば、選挙で生き残るというインセンティブが強すぎるといっているのです。 Holmstrom-Milgromなどの分析で知られているように、マルチタスクのエイジェンシー問題では、歩合制などでインセンティブを強めると、定量的に見えやすいセールスなどの仕事に努力が集中し、品質管理などの間接部門がおろそかになって商品の質が落ちることがあります。 日の衆議院議員の平均在職日数は2.75年。参議院を含めると1.37年に1度も選挙があり、これは主要国でもっとも短い。小幡さんは、政治家の仕事は「複数の案があったときに、そのどれかに決め

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  • 阿川佐和子さんのためのエネルギー問題入門

    きょうはTVタックルの収録(9/10放送)。こういう「容認派vs反対派」の番組は議論としては不毛だが、人々が何を誤解しているのかを知るには役立つ。きょう痛感したのは、阿川佐和子さんを含めて「福島第一原発事故は取り返しのつかない大事故で、これによってエネルギー政策は全面的な転換を迫られる」と思い込んでいる人が多いことだ。宗教的な反原発派を相手にしてもしょうがないので、阿川さんにわかるように説明してみよう。 まず福島第一原発事故は大災害だったのかということだ。メディアが報道した量は多いが、幸いなことに事故の被害は大したことない。地震・津波では1万8000人以上が死んだが、放射能の健康被害は1人も出ないということで専門家の意見は一致している。「16万人が帰宅できない」というのはその通りだが、これは無理な避難による人災だ。こうした2次災害で600人以上の死者が出た。過剰避難こそ原発事故の最大の被害

    阿川佐和子さんのためのエネルギー問題入門
  • AIJ事件、年金基金担当者の投資知識レベルは?

    AIJ事件で、警視庁は浅川和彦被告ら3人を詐欺容疑で再逮捕したそうです。 ほかに再逮捕されたのは取締役の高橋成子被告でした。ここまでで被害額は約200億円に達しました。 これまで報道されていることは、AIJ投資顧問が1000億円を超える企業年金の資金を失わせた事件で、AIJは、巨額の損失を隠す一方、報酬や手数料として100億円前後を得ていたことが関係者への取材で分かっています。 ここで被害者にあたるのは土建業や印刷業界基金でした。そのほかに大手電機メーカー、某大学、有名IT企業なども含まれています。 基金の理事長のひとりは、被害額救済を政府に訴えています。公的年金でまかなうという要望です。 運用さえしたことがない組織が、失敗したからそのツケを政府や公的年金(厚生年金だと思われる)に救済してほしい。なんという虫のいい話でしょうか。投資して失敗したから、税金で損失をまかなってほしい、と訴えてい

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  • 偉大なバーナンキ

    やはりバーナンキは偉大だ。 8月31日、恒例のワイオミング州のジャクソンホールでの講演で、2007年の危機以降の金融政策を振り返ることにすると称して、自らの金融政策を自画自賛しただけだったからだ。 これは日銀にはできない。 そこがFRBと日銀との差、バーナンキと白川総裁との差だ。 しかし、もっと致命的な差がこの講演には含まれていた。恐ろしいほどに。 *** バーナンキは、危機対応の非伝統的な政策を、Balance Sheet Tools と Communication Toolsの二つに分け、それらが、いかに効果を発揮しており、懸念されるような副作用が起きていないかを主張した。 非伝統的な政策は前例がほとんどなく、通常の政策よりもいかに難しいか述べた上で、その中で、我々の(というよりは俺の)政策は効果を発揮し、問題も起こしていない、と述べ続けた。 こんな講演を聞かされる方はうんざりだし、土

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  • 国民医療費増大に潜む、薬剤師の存在意義を問い直す必要性 --- 竹内 健太

    2011年度の国民医療費は37.8兆円と過去最高になった。現役世代よりも医療を必要とする高齢者の割合が増えたことや医療技術の進歩といった要因が影響しているが、国民医療費の増加に影響した重大な要因が存在する。それは、薬局調剤医療費の増加である。 平成11年度と平成21年度の診療種類別国民医療費を比較すると、10年間で国民医療費に占める薬局調剤医療費が、7.8%から16.2%に約2倍に増加していることがわかる。推計費用を比較しても、平成11年度では2兆3844億円であり、平成21年度では5兆8228億円と2倍以上に増加している。10年間で総国民医療費は5兆3048億円増加しており、その中でも薬局調剤医療費は3兆4384億円増加している。国民医療費の増加分に占める薬局調剤医療費の増加分は約65%であり、薬局調剤医療費の増加は見過ごせない状況となっている。 この薬局調剤医療費が増加した要因は195

  • 「所有する」から「借りる」時代の到来 --- 岡本 裕明

    高度成長期、車は買い換えるたびに車格が上がり、最後は「クラウン」が最高峰でした。一方、田中角栄元首相は不動産に対する魅力を国民に教えてくれました。我も我もと投資不動産を買ったり、60歳からの資産活用、アパート経営と称して更に借金をしてアパート建設をして事業をする方も多かったと思います。 これらは「持つ資産」をベースに経済が廻っていることを意味しています。今でも結婚したら早いうちにマンション買ってローンは定年退職するより早く払い終わることを願っている家庭は多いことでしょう。そのために子供の教育費を捻出し、住宅ローンを払ったら給与は何も残らない、という家庭は多いのではないでしょうか? 私の知り合いが東京近郊で新築マンションを3500万円で買いましたが2年後には市場価値は3000万円を切っていました。住宅ローンの組み方次第では10年経ってもローン残高と住宅価値が同じ程度になる人も多いかと思いま

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  • 中国化する政治?

    大阪維新の会の公約、「維新八策」の最終案が発表された。注目されているのは衆議院の定数半減だが、それは筋ではない。橋下市長は、そのねらいをこう語っている。 政治任用で行政組織を作れば、議員の数は多くは要らない。選ばれた政治家の価値判断・決定と同じ価値観を持つ行政組織を作れば良い。こうすれば政治家の数が少ないからといって官僚依存になることはない。政治家と同じ価値観を持つ行政組織が誕生すれば、そのような組織に依存しても問題ない。 つまり国会が立法するという(機能していない)建て前をやめ、官僚が立法する実態に合わせて、幹部公務員を政党の政治任用にして、実質的に選挙で選ぶことがねらいなのだ。これは民主党政権も「政治主導」という名でやろうとしたことだが、政務三役だけがパラシュート部隊のように役所に降りても、実権はすべて事務方に握られて何もできなかった。 これに対して大阪で橋下氏が短期間に実績を上げた

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  • 劣化著しい厚生労働白書 --- 鈴木 亘

    今年度の厚生労働白書(平成24年版厚生労働白書 ─社会保障を考える─)が、8月28日にリリースされました。 近年、厚生労働省からの頭脳流出は著しく、白書の劣化も年を追うごとに酷くなるばかりですが、今年は特に読むに堪えない記述が多くみられます。とりわけ、年金に関しての記述は、史上最悪のレベルと言っても良いでしょう。 例えば、文56ページには、「国民年金の未納が増えると年金制度が破たんする?」と題したコラムが記載されています。(56ページ) これは、2011年度末現在、未納率が41.4%にも達している国民年金制度に対して、厚生年金や共済年金が財政援助をして、未納分の保険料収入を肩代わりしていることについて、それを正当化するもので、 曰く、「……未納の分は将来、年金が支給されないため、長期的に見れば年金財政に影響はなく……」等と説明されています。これはかなり大きな問題がある記述です。 このコラ

    劣化著しい厚生労働白書 --- 鈴木 亘
  • 出口戦略を持たないスタートアップはスタートアップではない。

    スタートアップとは、創業2-3年までの新興企業のことです。シリコンバレー用語といえるので、原則としてベンチャー企業、特にネットやバイオなどの急速に成長を続けている業界に関わる起業家たちの試みに限る呼び方です。 言葉というものは、正しく定義づけて使わなければならないと思います。起業家仲間の渡邉薫さんは「これからは英語とコンピュータープログラミングができなければ生きていけない時代になる」と公言されていますが、僕が思うに文章を書く行為は一種のプログラミングです。プログラムもきれいに書く人とそうでない人がいるし、表面的には同じ機能を再現できていてもソースの書き方は人によって違います。同じく、文章もまた、多少の誤りがあるかどうかはおいて、正しく書き手の意図が伝わることが大事です。 その過程でもっとも重要なのが、使う語句の意味がなるべく一義であることです。つまり、ここで僕が言いたいのは、ベンチャーとか

    出口戦略を持たないスタートアップはスタートアップではない。
  • 日本企業を弱体化させる補助金行政 --- 岡本 裕明

    アクオス、亀山のブランドネームで日市場を制したシャープの苦境ぶりが目立っています。早ければ今週にも台湾の鴻海グループとの提携内容の見直しについて発表があるものと思いますが、僅か数年で崖から落ち、瀕死の重傷になったシャープの経営不振の原因はどこにあったのでしょうか? これは言うまでもなく昨年7月の地上デジタル移管に伴う政府からの補助金政策であったエコポイントがトリガーになっていると思います。エコポイントは2009年5月から2011年3月まであり、エコ製品に対して様々な商品と引き換えられる特典が発表されました。そのエコポイントの主たる対象商品はテレビでした。 日経新聞によれば国内で1億台のテレビのうち、2009年から2011年までの3年で6000万台が買い換えられたとされています。結果としてテレビの寿命が5年なら残り4000万台に対して5年で需要を作り出すのですから年間わずか800万台の需要

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  • 海外へ出て恥をかかないための4つの事柄 --- 岡本 裕明

    人の国際化ということが改めて意識される時代になりました。大手企業の一部では新卒者の採用を日人枠と外国人枠を設けたり枠そのものがなかったりで、まさに就職が国際競争化しつつあります。また、就職できたとしても企業そのものの体質は海外依存度が高まっており、海外と否が応でもビジネスをしなくてはいけない時代になってきたのです。 数年前、新聞の「海外に出たがらない日人」という記事で半数以上がいわゆる国内派で海外勤務は断る、という結果が出ていました。理由として教育や家族のことが上げられていますが、要は行きたくないというのが最大の理由かと思います。 それから僅か数年で企業の環境は激変し、海外なくして日は収益を上げられなくなりつつあります。極論すれば海外で稼いで国内をわせる時代が一歩一歩近づいてきたともいえるわけです。これに焦っているのが若者だろうと思います。それまでのほほんと過ごした大学時代に突

    海外へ出て恥をかかないための4つの事柄 --- 岡本 裕明
  • 東洋経済「リクルートの正体」の正体 人材「排出」企業との上手なつきあい方

    週刊 東洋経済 2012年 8/25号 [雑誌] クチコミを見る 先週の週刊東洋経済はリクルート特集だった。リクルート事件の贖罪、1兆円を超える借金の返済を経て、この度、持ち株会社と事業会社に組織を分け、上場を目指す同社に迫ったものだった。週刊東洋経済編集部と、リクルートの広報室の気を感じる、よくまとまったものではあった。 しかし、この手のリクルートの特集を読む度、特に「人材輩出企業」という言われ方をする度に、いつも首をかしげるのだ。「輩出」じゃなくて、「排出」じゃないのか、と。現実をお伝えするとともに、来週以降、取引先として、あるいはプライベートで元リク&現役社員と付き合う上での処世術をお伝えすることにしよう。 ■人材輩出企業、なのか? もう1年半前に出た拙著『「キャリアアップ」のバカヤロー』(講談社+α新書 2011)で検証したのだが、よく同社は「人材輩出企業」として取り上げられる。

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  • 正しすぎるライフネット生命の新卒採用 : アゴラ - ライブドアブログ

    経済・金融 正しすぎるライフネット生命の新卒採用 / 記事一覧 やや旧聞に属するが、ライフネット生命が興味深い採用方法を行っている。 ライフネット生命 2013年新卒採用 http://recruit.netseiho.com/assignment/index.html 「皆さんには『重い課題』に挑戦していただきます」と、当に重い課題を応募者に課している。以下、課題Aの内容だ。 [1]日における少子化の現状とその原因を明らかにしてください [2]そのうえで、あなたが解決すべき課題をあげてください。 [3]インターネットを使ってその課題を取り組むためのプランを立て、費用対効果とともに提案してください。 [注]あなたは現在の少子化担当大臣の政策実行チームとはまったく別に依頼されています。」 もう1つの課題Bでは、1000万円の費用であなたが学んでいる学校をより魅力適する方法を

  • 夫婦の寝床と夫婦のベッドの違い : アゴラ - ライブドアブログ

  • 慰安婦問題の「主犯」は福島瑞穂弁護士

    竹島問題が慰安婦問題を再燃させ、なぜか尖閣諸島まで飛び火しているが、愛国心に燃える前にまず基的な事実関係を理解しておいたほうがいい。書は先週のニコ生にも出演してもらった西岡力氏の解説である。 慰安婦問題の特異性は、日人が創作した話だということだ。ふつう「私が犯罪者だ」と嘘をつく人はいないが、奇妙なことに戦争についてはそういう「詐話師」がいる。この問題の発端となった吉田清治がその最たるもので、彼の『私の戦争犯罪』には、済州島で「慰安婦狩り」をした様子が詳細に書かれているが、なんとすべて嘘なのだ。人ものちに「フィクションだ」と認めた。 ところが吉田の話に目をつけて日政府を相手に訴訟を起こそうとしたのが、福島瑞穂氏や高木健一氏などの弁護士で、彼らは韓国に渡って原告になる元慰安婦を募集した。そこで見つけたのが金学順で、彼女はNHKにも出演して「親に売られてキーセンになり、義父に連れられて

    慰安婦問題の「主犯」は福島瑞穂弁護士
  • 本当のニーズに応える「老人ホーム」の大いなる可能性 --- 岡本 裕明

    私は「アセットライト」という言葉を時々使わせてもらっています。あまり、一つのものに大きなウェイトをかけない、という意です。これは見方によれば、ビジネスのみならず、私生活でもそうなのかもしれません。 5、6年前までは老人ホームといえばほとんどの人は数千万円の入居金を払わねばならない敷居の高いところで「これでは老人ホームに入れない」という高齢者の嘆き節が良く聞こえてたものでした。一方、初期の老人ホームはさまざまな苦い話があったことも事実です。入居者にとって唯一の楽しみである事についての不満は爆発的で私もフィージビリティスタディをしていた際、既存のシステムでは対応しきれないという判断を下したことがあります。 それは単に事のクオリティを求めるのではなく、例えばご飯の焚き方一つ、味噌汁の味一つが高齢者になればなるほど許容キャパシティーが小さくなるため入居者全員の満足感を求めることが不可能になって

    本当のニーズに応える「老人ホーム」の大いなる可能性 --- 岡本 裕明