*この小文は、最初は学部学生のレポート執筆を念頭において書いたものだが、それにしてはやや要求水準が高すぎたので、むしろ大学院生向けの論文作法として書き改めた。そのようなものとしてみた場合、ある意味では当たり前のようなことを書いてあるが、実は、当たり前のようなことがなかなか実践できないというのが現実であり、「言うは易く、行なうは難い」ということを痛感する。私自身を含めて、既に研究者になった人間も、守るべき作法を本当に守っているか、時々反省してみる必要があるのではないかと思う(2001年2月)。 大学生やあるいは社会人も種々の調査レポートを書いたり、研究発表をする機会がよくあるだろうが、「研究論文」というものは、それらと――似た要素ももちろんあるが――同じものではない。では、どこにどのような特徴があるだろうか。 「研究論文」とよばれるものの最大の特徴は、予め「正解」がどこかにあって、それを見つ