住民訴訟で自治体の首長側が賠償を命じられても、議会が首長への請求を放棄してしまう「帳消し」が各地で相次いでいる問題で、東京高裁は24日、栃木県さくら市の公金支出訴訟の控訴審判決で、「帳消し」の市議会議決を無効とする判断を示した。房村精一裁判長は「議決権の乱用」と指摘し、議会の姿勢を「三権分立の趣旨に反する」と批判した。 自治体議会による「帳消し」をめぐっては、これまで一審で勝訴した住民側が議決によって逆転敗訴するケースが続いてきた。しかし、大阪高裁が11月、神戸市の補助金をめぐる訴訟で「議決権の乱用」とする判断を示したことから、この日の東京高裁の判決も注目されていた。 訴訟は、合併してさくら市になる前の旧氏家町が購入した浄水場の用地代が周辺価格と比べて高すぎるとして住民が起こした。2008年12月の宇都宮地裁判決は住民側の主張を認め、当時町長だった前市長に約1億2千万円を請求するよう市