女性の権利向上や社会進出を求める「フェミニズム」を真正面から扱った『虎に翼』(NHK総合)は、これまでさまざまなヒロインの人生を通して、社会に「はて?」を問うてきたNHK朝ドラにおける、一つの集大成だ。だからといって、女性を優遇する物語ではない。高等試験に合格し弁護士になった寅子が「困っている方を救いつづけます。男女関係なく!」と高らかに宣言したように、男性たちの生きづらさも含め、あらゆる個人の生き方に対して目を向ける作品になっていた。 第1話で「私にはこれからしたいことを見つけたり、そのしたいことで一番を目指す権利だってある」と熱弁していた寅子(伊藤沙莉)は法律と出会う。女性の社会的地位が現在よりもずっと低かった時代に、女性法曹のパイオニアとして、最前線で道を切り開いてきたヒロインの物語が、いよいよ最終回を迎えようとしている。