嫁さんの事を思い出し続ければいい。 親族に対する義理や世間体ではなく、それがあんたの本心なら従えばいい。 かかる時間は人それぞれだけど、ふとした時にすっきりする。 おれもそうだった。 全てに現実味が無かった。 休みの日は、さみしいけど一緒にいるのが知り合いだと何だか辛くて、誘いは全部断ってた。 マンガ喫茶やホームセンターみたいに、おれに無関心な雑踏や雑音に埋もれてた。 当然どこに行っても思い出したよ。その度に個室やトイレでずっと嗚咽をおしころした。 散歩も夜。いきなり泣き出すおっさんの顔なんて見られたくないしね。 でもさ。うそみたいな話だけど、ほんとにある日「幸せになって」って聞こえた気がしたんだよ。 おれは今でも一人だし、時々嫁の事を思い出すけど、ちょっとずついろいろやってる。 ボルダリングしたり、山登ったり、ゲームしたり、料理作ってみたり、落語を聞きにいったり。 あと何十年かして、嫁に