楽天グループが2020年に参入したモバイル事業の赤字に苦しんでいる。2023年1〜9月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が2084億円の赤字(前年同期は2625億円の赤字)。同期間の赤字は5年連続だ。全国ネットワークを構築するため設備投資に累計1兆円をつぎ込んだが、契約数は昨年末に600万件を超えたところで、単月黒字の目安となる800万件に届いていない。一方で2024年からの2年間で総額8000億円という巨額の社債償還が待ち受ける。 絶体絶命とも思えるこのピンチを、楽天グループは脱することができるのか。三木谷浩史会長に聞いた。(聞き手 大西康之・ジャーナリスト) GAFAMが携帯に進出? ――自前の回線網を敷くには巨額投資が必要で、モバイル事業が大赤字になることは最初から分かっていました。あえてレッドオーシャンに飛び込んだのはなぜですか。 三木谷 かつて激しく競争していた先行3社がそれ