年初から、福岡市美術館では「想像しなおし」「上田宇三郎展」「茶の湯交遊録」と三つの企画展が重なり、1〜2月はイベント、関連事業がほぼ毎週末開催された。特別企画展だけでなく常設展示室でも企画展を行なう当館ならではの現象なのだが、今回私はその中心にいない。新人のころをのぞけば、筆者にとってこれは初めての体験だ。ここでは、近・現代美術の内容を持つ二つの展覧会をレビューしたい。 展示の詳細は、坂本顕子氏が見事な写真とともに紹介・論評をしてくださっているので、ここではその展示を前提に2月11日発刊の図録エッセイを読んでの感想を記したい。 現代美術の企画者(キュレーター)は、否が応でもなんらかの信条告白を展覧会という場で行なわざるをえない宿命にある。たんに現在の美術状況に関する知識だけでなく、それを取り巻く状況に関しての知見や感受性を総動員して。それは、そもそも現代のアーティストたちが、この複雑化した