伊集院光というラジオの人が、「運賃を二人分払うから座席をふたつ使いたい」みたいなことを言っていた。彼は体躯が巨く、またそれによって他者に迷惑をかけることに、うしろ暗い思いを抱いているという。でもいま、彼、けっこう痩せたらしいですね。 そう思ったのも、過日。電車に巨漢がのっていた。だぼだぼのティーシャツに、スリムな女性ならば片方の足にすっぽり全身が入ってしまいそうな、大きな大きなジーパンを履いていた。たぶんアメリカで買っている。もしくはサカゼン。 公共の乗り物なので、だれしもに乗車する権利はある。かくいう私にだって乗る権利はあるんだ。しかし、問題は彼が座席に着いていたことだった。 車内はそれほど混み合っておらず、立ち乗り客が銘々吊革にぶらさがっていた。座席はすべてうまっていた。しかし、その巨漢の隣席を除いてすべて、である。 なぜだれも彼の横に座らないのか! と感嘆符をつけた疑問は、その一瞥に