難民「ALS一族」 2009年の暮れのこと。学習院大学名誉教授でタレントの篠沢教授がALS (筋萎縮性側索硬化症)を発症した。確か妹から聞いて知ったのだったが、日本の著名人でALSを罹患してカミングアウトした人は珍しかったので、『週刊朝日』1月号を買いにコンビニに走った。 読めば「吸引は愛」とあるが、奥様が大変そうだった。すぐ編集部に電話して、重度障害者の長時間の介護サービスがあること、誰でも使えることを伝えると、その日のうちに教授の奥様からお電話を頂戴した。 私の母は1995年にALSを発症。それで父と私と妹の3人で手分けして、在宅介護をしていた期間があるのだが、介護負担は尋常ではなく、そのまま3人だけで続けていたら、誰かが母を殺してしまいそうだった。それで実家の一角を借りて法人登記して、介護派遣事業所を立ち上げて7年が経っていた。 その頃はまだ、ALS患者にとって必要不可欠な吸引や経管