大阪・新世界に外国人客が集まる包丁専門店がある。値段は3000円~200万円で、どれも日本製だ。カナダ出身の店主、ビヨン・ハイバーグさんが2011年に立ち上げた。なぜビヨンさんは日本の包丁を売るようになったのか。インタビューライターの池田アユリさんが取材した――。 「日本人より日本の包丁に詳しい外国人」 「ほんとだ、スーッと切れる」 大阪市浪速区、新世界と呼ばれる繁華街にある包丁専門店「タワーナイブズ大阪 刃物工房(以下、タワーナイブズ大阪)」。3月某日、私はここで、魔法のようにニンジンが切れる包丁を手に、素直な感想が口からこぼれた。包丁の名は、同店が手掛けたオリジナル包丁「未来伝(価格帯は1万2000~3万2000円)」だ。力をほとんど入れなくとも、刃先が素材に吸い込まれるように入っていく。 「そう、その切り方です。優しく、包丁の重みに任せれば、素材がもっと美味しくなります」 目の前で包
