今回紹介する書籍は、憲法改正を考えるにあたり大変注目されている研究成果がまとめた一冊です。 現行憲法194典、現存国の旧憲法664典、消滅した国の憲法37典を含む、18世紀以降制定された世界の900以上の憲法典をデータ化し、パターンを観察し、仮説を立て、実証分析が行われています。対象を可能な限り広くして定量的な比較を行うことで、時代や地域によって異なる憲法内容の変遷や、日本国憲法の特徴や異質性を鮮明に浮かび上がらせています。 著者の主張は大きく3つ。(1)日本国憲法は他の憲法に比べて改正の必要性が構造的に低いこと。(2)人権が多く明記されている憲法は長続きする傾向にあり、日本国憲法は時代に取り残されているどころか、逆にグローバルスタンダードが日本国憲法に近づいているということ。(3)「一票の格差」や過度な選挙規制など、議会多数による選挙制度の恣意的運用により代表制民主主義が損なわれている現
書籍の内容 女主人が主宰する優雅で洗練された社交の場は、デカルト思想、新科学、啓蒙思想、フェミニズムなど、新しい思想の創出・交流・伝播を担う重要なメディアにして公共的空間でもあった。17・18世紀の思想を動かしたフランス・サロン文化の役割をあますところなく描きだす。 書籍の目次 序 章 フランスのサロンと思想の歴史 第1章 フランス17・18世紀の思想の流れ 1 17世紀の思想の流れ 2 18世紀の啓蒙思想 3 17・18世紀の人間論、道徳思想 第2章 17世紀前半のサロン 1600-1650 1 ランブイエ侯爵夫人の「青い部屋」とデ・ロージュ夫人、オーシー夫人のサロン 2 「オネットム」の理想 第3章 17世紀中ごろのサロン 1650-1660 1 スキュデリー嬢の「土曜会」 2 フェミニズムの進展(その1)——「プレシオジテ」 第4章 17世紀後半のサロン 1660-1680 1 ラ・
直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足 作者:ジェレミー・デシルヴァ文藝春秋Amazon人類は高い知性など他の動物にみられない特徴をいくつも持っているが、そうした特徴の中でも最たるものの一つに、「直立二足歩行をしている」が挙げられる。 二足歩行はたしかに手がフリーになって武器が持てる、道具を使えるなどの多くの利点がある一方で、歩く時はより不安定になってこけやすくなり、走る際の最高速度も劣る。では、現生人類が二足歩行をしているのはなぜなのか。生存競争上の利点があったことは間違いがないが、それはいったいどのようなものなのか。直立二足歩行には進化史上、どの時点に至ったのだろうか。本書『直立二足歩行の人類史』は、そうした人類と直立二足歩行の歴史をあらためてたどりなおしていく一冊である。 人間が直立二足歩行に至る過程といえば、チンパンジーやゴリラがやっているような、地面に手をつけて歩く
日本の翻訳文化は、かつて豊かな土壌を誇っていた。世界の古典はもちろん、最新の文学作品、ノンフィクションや研究書がほぼオンタイムで翻訳され、普通の書店で入手できる……。昭和30年代から50年代ごろにかけては、それが当たり前だった。が、時代が降るとともに翻訳書籍の出版点数は減少し、現在では絶版となった過去の翻訳書籍を読むことすら難しくなっている。 ルイ・アレン『日本軍が銃をおいた日』(早川書房) そんな状況に一石を投じようと、早川書房が戦争を題材としたノンフィクションの名作を収録した叢書を刊行する。8月から刊行される「人間と戦争」シリーズだ。監修に『独ソ戦』など第二次世界大戦を題材とした著書で知られる大木毅氏を迎え、現在入手困難となっている戦争をテーマとしたノンフィクションのなかから今日なお読む価値のある作品を選定、専門家による訳文・訳語の再検討を行い、詳細な訳註や解説を付して、現代の読者に提
小山虎『知られざるコンピューターの思想史 アメリカン・アイデアリズムから分析哲学へ』が好評発売中です。 フォン・ノイマン、ゲーデル、そしてタルスキ。 現代のコンピューターサイエンスの礎を築いた偉人たちを育んだオーストリア哲学の系譜とは? 二度の世界大戦をまたぎ、新大陸アメリカで開花した情報技術と分析哲学の知られざるルーツをたどる、気鋭の分析哲学研究者による野心的な思想史です。 中欧オーストリアを中心に活躍し、20世紀の科学革命を牽引した哲学と数学の立役者たちは、アメリカの地にどんな「理想」を植え継いだのか。 ほとんど接点のなさそうに見えるコンピューター・サイエンスと分析哲学という二つの学問知のルーツを繋ぎ、その土壌となった大学制度や研究機関の成り立ちや文化風土も視野に入れながら解説します。 PLANETS公式オンラインストアにて好評発売中!! 【公式オンラインストア限定】オンライン講義に参
They broke boundaries and challenged conceptions. We asked you for your must-read classics; from iconic bestsellers to lesser-known gems, these are your essential recommends.
西洋哲学史のなかでもトップクラスのとっつきにくさで知られるヘーゲル。この記事では、ヘーゲル哲学を学ぶための入り口を提案します。この夏、新たな挑戦としてヘーゲルに入門してみてはいかがでしょうか。 1.ヘーゲル哲学入門の難しさ 西洋哲学に興味のある者でその名を知らぬ者はいない、と言ってもよい大哲学者ヘーゲル。しかし、彼の思想を学ぶことには独特の困難が伴います。 1.1 文章が難解すぎる ヘーゲルの文章は非常に難解で、西洋哲学の中でもトップレベル。ヘーゲル自身も書簡でうまく書けないと嘆いており、専門の論文でも、例えば英語ならdense(濃縮された)やnotrious(悪名高い)と言った表現に何度も出会うほど。いきなりヘーゲルの著作を開いて、数行で挫折してしまった、という方も少なくないでしょう。 1.2 著書が手に入りにくい 哲学の古典と言えばまず思い浮かべる人も多いであろう岩波文庫。その岩波文庫
ソフトウェアアーキテクチャの基礎 ―エンジニアリングに基づく体系的アプローチ 作者:Mark Richards,Neal FordオライリージャパンAmazon とても良い本だ!アーキテクチャのパターンは体系的に整理されているし、アーキテクチャを議論する上で、共通の語彙となり得る用語を解説している(コンウェイの法則や、凝集度など)。 後半は、リスクや、チームビルディング、交渉術まで多岐に渡るトピックを網羅している。 必要なことは全部書いてある...けれど、なんとなく初めてPMBOKを読んだときに抱いた感想...読み始めてからすぐに「果たしてこの本に書かれている通りの考え方に沿って振る舞えばアーキテクトになれるのか?」という気持ちになりはじめたところで1章の最後の方に出てくる「ソフトウェアアーキテクチャの法則」が出てきて、「そうだよなー」という気持ちに。 ソフトウェアアーキテクチャはトレード
2020年3月、江戸時代後期の椿井政隆という人物が作った偽の家系図や絵図など「椿井文書」と呼ばれる一連の偽文書(ぎもんじょ)についてまとめた『椿井文書――日本最大級の偽文書』(中公新書)が出版され、話題を集めました。椿井文書の実体と、それを根拠に町おこしが行われている実態を明るみにした同書は「新書大賞2021」3位にも選出。歴史の嘘が真実へと置き換わっていくことについて、著者の大阪大谷大学・馬部隆弘准教授に話を聞きました。 「椿井文書」は山城国相楽郡椿井村(現在の京都府木津川市)出身の椿井政隆(1770~1837年)が、中世の地図や絵図、家系図と称して偽作した文書の総称。現在の滋賀県北部から京都南部、大阪まで数百点が広く流布した。代表的なものとして、興福寺(奈良県)の末寺をリストにまとめた「興福寺官務牒疏(こうふくじかんむちょうそ)」がある。 <名前を見ただけでむず痒くなりますね> ――「
中学や高校のとき、教科書とは別に資料集というものを購入することがある。社会科や理科の資料集はよく見かけるが、国語にも「国語便覧」と呼ばれる資料集が存在する。 その「国語便覧」がとってもおもしろいので、思入れのある人たちと一緒に、しっかり推していきたい。 国語便覧、知ってます? 国語便覧といって、みんなが「あー、はいはい、あれね」となるかどうか、いささかこころもとない。なぜなら、ぼく自身、国語の授業で国語便覧を使った記憶がないからだ。 おとなになって上京し、本屋で見かけて「え、こんな資料集があるの?」とはじめて知ったほどであった。 おそらく、学校や地域、時代によって、国語便覧を使うところ、使わないところの差があるのかもしれない。 さまざまな国語便覧 書名は、大修館書店、文英堂、数研出版、第一学習社、浜島書店などから出ているものは『国語便覧』が入った書名を使っているが、京都書房の『国語図説』『
2003年に公開された『ザ・コア』というSFパニック映画をご存じでしょうか? 主演がアーロン・エッカート(『ダークナイト』でハービー・デント/トゥーフェイスを演じた、ケツ顎が印象的な俳優)とヒラリー・スワンク(2度のアカデミー主演女優賞の受賞歴がある、名優)の2人で、なかなか豪華なキャスティングでした。楽しい作品ですが、科学考証がかなりアレなため、ブルーバックス的にはおススメしていいものか悩ましい……。 この映画のタイトルにある「コア」とは、地球の中心に現実にある「鉄球」の名前です。コアの半径は約3500kmと知られています。ちなみに、月の半径がおよそ1700km。地球の中に月よりもはるかに大きな鉄球があると聞くと、なんだか不思議な感じがしないでしょうか。 コアが存在することは間違いないのですが、わかっていることは多くありません。謎の宝庫であり、地球科学者にとっては興味の尽きない存在です。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く