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sfに関するkeloinwellのブックマーク (99)

  • 星雲賞受賞作にして藤井太洋のあらたなる代表作といっても過言ではない、未来の戦争を描き出した長篇SF!──『マン・カインド』 - 基本読書

    マン・カインド 作者:藤井 太洋早川書房Amazonこの『マン・カインド』は、至近未来ー近未来を主な舞台に選び、現実の社会情勢や技術の延長線上で様々な短篇・長篇を発表してきた作家、藤井太洋の最新長篇だ。最新とはいっても作はSFマガジンで2017年〜21年まで連載しており、翌年の星雲賞(日SF賞で、SF大会の参加者の投票で決定される)の長篇部門を受賞している。 つまり連載当時から高い評価を受けていたわけだが、なぜ単行化が今日まで伸びたのか? といえば理由は僕も何も知らないが、単純に忙しかったのか、もしくは連載版に比べて大幅に加筆修正をしたそうなので、「より完璧な」形を目指すのに時間がかかったのだろう。そんなこんなで期間があいたこともあって、連載版で読んではいるものの初読のような気持ちで読み始めたのだが、いやーこれがおもしろかった! 作の舞台は2040年代の未来。この世界ではAIドロ

    星雲賞受賞作にして藤井太洋のあらたなる代表作といっても過言ではない、未来の戦争を描き出した長篇SF!──『マン・カインド』 - 基本読書
  • 精霊による魔法と科学が融合し発展した都市カイロを舞台に、伝説の魔術師との戦いを描く四冠達成のサイエンスファンタジー──『精霊を統べる者』 - 基本読書

    精霊を統べる者 (創元海外SF叢書) 作者:P・ジェリ・クラーク東京創元社Amazonこの『精霊を統べる者』は、ネビュラ賞、ローカス賞、イグナイト賞、コンプトン・クルック賞と4冠に輝いた、アメリカの作家P・ジェリ・クラークの第一長篇&サイエンス・ファンタジーだ。物語の時代はまだ人種差別も女性差別も色濃く残る20世紀初頭。魔法と科学が融合した都市カイロを舞台に、伝説の大魔術師を名乗る何者かによって引き起こされた、魔術世界を揺るがす大事件を描き出していく。 僕はもともとこうした「科学と魔法が融合」したような世界観が大好物だから読む前からそうとうに期待していたのだけど、これが高まったハードルをやすやすと超えていくような作品だ。良い点はいくつもあるが、なんといっても舞台をジンが存在することによってヨーロッパ列強と肩を並べるに至ったという架空のエジプトに設定しているのが良い。著者は現在コネチカット大

    精霊による魔法と科学が融合し発展した都市カイロを舞台に、伝説の魔術師との戦いを描く四冠達成のサイエンスファンタジー──『精霊を統べる者』 - 基本読書
  • 『タテの国』の著者による、100年ごとに5万年後の未来までを観測するド真ん中で壮大な規模のSF長篇──『未来経過観測員』 - 基本読書

    未来経過観測員 (角川書店単行) 作者:田中 空KADOKAWAAmazonこの『未来経過観測員』は、縦読みならではの物語を構築し次々と明らかになる世界の真の姿、無限構造の物語を描きだしてみせた漫画『タテの国』や宇宙をさまよい、偶然出会った無人の宇宙船同士で元素を奪い合う闘争を描いた短篇『さいごの宇宙船』など格的なSF漫画を次々と発表してきた田中空のはじめての小説作品だ。 もともと表題作の『未来経過観測員』がカクヨムにて掲載され人気となっていた。書はそこに短篇「ボディーアーマーと夏目漱石」が書き下ろし&追加された一冊になる。もともと『タテの国』などの作品を読んで今どき珍しいぐらいにド直球に「世界の真の姿」「宇宙の果ての果て」、「世界の終わり」に挑みかかるような作家で(そういう意味でいうと、タイプとしては劉慈欣やステープルドンを彷彿とさせる作風ではある)どの漫画もたいへん楽しく読んでい

    『タテの国』の著者による、100年ごとに5万年後の未来までを観測するド真ん中で壮大な規模のSF長篇──『未来経過観測員』 - 基本読書
  • 未来を既読にする一冊『SF超入門』

    治療法がない疫病の感染者に、人は、どれだけ残酷になれるか。脅威を恐怖として煽るマスコミのせいで、防疫と差別を取り違える輩が登場し、およそ人とは思えないような残酷なことを平気で実行する。 「健康」が義務化され、不健康であることが罪となる社会では、自分の体を自分で自由にすることすらできない。健康が強制される管理社会において、最終的に支配する対象は「心」になる。 現代日の話ではなく、サイエンス・フィクションの話をしている。 物語であるにも関わらず、恐ろしいほど「いま」「ここ」を示している。コロナ差別や、背番号で健康管理をする時代のずっと前に、作品は世に問われ、エンタメの形で消費されてきた。 だから、物語が現実の形で登場するとき、「ああ、これは読んだことがある」と気づくことができる。目の前で進行する出来事に対し、「これは履修済み」として受け止めた上で、その物語を比較対象にしながら、是非を検討でき

    未来を既読にする一冊『SF超入門』
  • 謎の信号によって人類のDNAがハッキングされ、「終局」に至る様をノンフィクションとして描き出す、ファーストコンタクトSF──『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』 - 基本読書

    ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日 (竹書房文庫) 作者:キース・トーマス竹書房Amazonこの『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変』は、2023年に銀河系のはるか彼方から届いたパルスが人類にぶちあたり、そこから一部の人々が重力波を見ることができるようになったり、知的能力が向上したりといった、一種のアップデート、進化(誤用)が行われてしまった世界について描かれたファーストコンタクトSFである。 特徴的なのは、作はそうした状況を誰かの目を通してリアルタイムで体験していくのではなく、2023年からはじまった一連の騒動が終わり、「終局」を迎えたあとの2028年に刊行されたノンフィクションという体裁で進行していくところにある。このノンフィクションは、元大統領からジャーナリスト、研究者まで様々な立場の人間の証言を元に構成されていて、読み進めていくうちに、「終局」とは何を

    謎の信号によって人類のDNAがハッキングされ、「終局」に至る様をノンフィクションとして描き出す、ファーストコンタクトSF──『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』 - 基本読書
  • 世界2900万部超えの怪物中国SF三部作、ついに完結──『三体』 - 基本読書

    三体Ⅲ 死神永生 上 作者:劉 慈欣早川書房AmazonSFとしてはこの10年で最大の話題作である、作家劉慈欣による『三体』。その三部作が、先日刊行されたばかりの『三体III 死神永生』(ししんえいせい)でついに完結! 中国国で大いに盛り上がり、その後ケン・リュウによる英訳で米国を中心とした英語圏で大ヒット。日でも第一部が刊行されるや否や話題に火がつき、SFとしてはありえないような話題と部数が出た──と、国内外問わずその部数だけみても化け物級の力を持った作品だが、重要なのは部数より作品のおもしろさ、それ自体である。 寂寥感を覚えるほどの傑作 どれだけ部数を重ねようがおもしろさはどうだろうかという作品もあるわけで、作はどうなのよという話になってくるわけだけれども、これについてはもう何の疑いもなく、傑作であると断言することができる。それも、人生にそう何冊も訪れることのない、記念碑的な傑作

    世界2900万部超えの怪物中国SF三部作、ついに完結──『三体』 - 基本読書
    keloinwell
    keloinwell 2021/06/01
    現在2巻の途中。3巻が出そうなタイミングで2巻を読み始めた。一気に読み切りたい。
  • あり得たかもしれない宇宙開発史を描き出す、主要SF賞総なめの話題作──『宇宙へ』 - 基本読書

    宇宙【そら】へ 上 (ハヤカワ文庫SF) 作者:メアリ ロビネット コワル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF) 作者:メアリ ロビネット コワル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版この『宇宙(そら)へ』は、メアリ・ロビネット・コワルによる、1950年代の女性の計算者&パイロットの物語を描き出す、宇宙開発系のSFである。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞というアメリカの主要SF関連賞を総なめにした、SFにおける今年最大の話題作のひとつ。僕はそもそも、SFとしては現実的な科学に根ざして宇宙を舞台に展開する物語、宇宙開発系と言われるサブジャンル全般が特に好きだから、作にも大いに期待していたんだけど──いやーこれはおもしろかった! 主な舞台となっているのは先に書いたように1950年代のアメリカだが、この世界は我々の

    あり得たかもしれない宇宙開発史を描き出す、主要SF賞総なめの話題作──『宇宙へ』 - 基本読書
  • とにかくSFが見てぇ! Netflixおすすめ作品5選

    とにかくSFが見てぇ! Netflixおすすめ作品5選2020.06.28 12:0045,489 Beth Elderkin - Gizmodo US [原文] ( 岩田リョウコ ) 新しいジャンルにハマってしまいましょう。 巣ごもり中でずっと見ていたドラマを見終えてしまったとか、見たかった映画は見尽くしちゃったとかありませんか? ではではSF映画なんていかがでしょう? Netflixにある外国SF映画を5つ、おすすめしますね。 オムニシエント(ブラジル)Image: Netflixオムニシエントは今年1月にリリースされたブラジルのSF。虫のように小さなドローンが全市民を監視している近未来のお話。ハイテク企業の実習生Ninaは自分の近親者が殺害されたと知ります。監視システムは起こることすべてを録画しているはずなのに、その殺害だけは撮影されていないのです。その謎を追うNinaは監視システム

    とにかくSFが見てぇ! Netflixおすすめ作品5選
  • ハヤカワの1000作品が最大50%割引の超大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する!! - 基本読書

    三体 作者:劉 慈欣発売日: 2019/07/04メディア: Kindle版うおおおコロナで外に出る理由もない今日この頃、突如として早川書房から1000作品が最大50%割引の超大型電子書籍セールをはじめたのでオススメを紹介します!! 早川は毎年、海外SFだったり日SFだったりと、わりとテーマを絞った数十〜数百点規模のセールはやっていたのだけど、垣根がなくここまで大規模のセールははじめてでは!? 早川といえばSFとミステリと科学ノンフィクションなので、そこらへんを重点的に紹介してみようかと思いやす。ちなみにセール商品全点は下記の通り。 www.amazon.co.jp SF篇 まず「これは当然だよなあ?」レベルの王道から行くと、なんといっても劉慈欣の『三体』だ! 識者らがアンケート形式で投票し、その得票数でランキングを決める「SFが読みたい!」というムックのランキングで2位を大きく突き放し

    ハヤカワの1000作品が最大50%割引の超大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する!! - 基本読書
  • 『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』 - 基本読書

    荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:陳 楸帆発売日: 2020/01/23メディア: 新書この『荒潮』は中国のSF作家を代表する一人と言われる陳楸帆による初の(そして今のところ唯一の)長篇SF小説である。陳楸帆の小説は、日でも刊行された現代中国SFアンソロジーである『折りたたみ北京』にも短篇「鼠年」が載っている。 この「鼠年」は、中国で遺伝子改造されたラットの逃亡と、その駆除隊に入った底辺層の駆除隊の青年を通して中国社会の苦境と世界を支配するゲーム・ルールを描き出していく、ローカル性とグローバル性が適度にブレンドされ、そこからさらにSFならではの情景に繋がっていく圧巻の短篇で、アンソロジー全体の中でも群を抜いておもしろかった。また、この『荒潮』は英語や、原語で読んだ人の評判もずば抜けて高く、最初から期待していたのだが──、実際読んでみたらこれがもうめちゃくちゃおもしろい! 久し

    『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』 - 基本読書
  • 中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書

    三体 (ハヤカワ文庫SF) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカ歴史あるヒューゴー賞を受賞した傑作である。ヒューゴー賞受賞の何が凄いかと言うと、翻訳書としてははじめてのの受賞になるのだ。 それぐらい作品の内容が圧倒していたともいえる。で、あまりSFとは縁のなさそうなオバマやザッカーバーグも絶賛していたりとか、アニメ化が決定したりとか話題は尽きないんだけれども、とにもかくにもこれだけは覚えて帰ってもらいたいのは、この『三体』は、話題先行の内容はまあおもしろいね、いうほどじゃないけど的な軟弱な態度で読み終わる作品ではなく、その肥大化しきっているともいえる話題性に劣らない、圧倒的なおもしろさのある、純粋におもしろいSF

    中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書
    keloinwell
    keloinwell 2019/07/08
    これ未読なんだけど、中国人の友達からおすすめされたことある。読んでみたいけど、なかなか時間ないなあ。
  • ディストピア小説不完全ガイド全56冊ー今だからこそ読みたい古典から新作まで(随時更新) - ゴミ本なんてない

    その過激な発言と排斥主義で世間の耳目を集めたトランプがまさかの大統領として着任した2017年初頭。途端に「ビッグ・ブラザー」といった造語を浸透させた事でも有名な、ジョージ・オーウェルの『1984』が爆売れしたのも記憶に新しい。人間の究極の理想であるユートピアとは真逆の、破綻した近未来を描くディストピア小説。その金字塔と言っても過言ではない作は、下手したらこうなるかもしれない、こうなってもおかしくない、という人間の不安を巧みに具現化し、時代を超越したメッセージ性があるからこそ、50年以上経った今でも数多くの人間に愛されている。 自分も例に漏れず『1984』を始め、ディストピア小説が大好きで結構読んでいたつもりだったのだけど、ここらで一旦今まで読んだの棚卸しするのにも丁度良いと思い、古典から新作まで、読んだ事があるものを全部まとめてみました。特に最近はかなり面白い作品が増えているので、邦訳

    ディストピア小説不完全ガイド全56冊ー今だからこそ読みたい古典から新作まで(随時更新) - ゴミ本なんてない
  • その菌に感染したものは、知能が爆発的に増加する。ただし──『天才感染症』

    天才感染症 上 (竹書房文庫) 作者: デイヴィッド・ウォルトン,押野慎吾出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2018/08/02メディア: 文庫この商品を含むブログを見る天才感染症 下 (竹書房文庫) 作者: デイヴィッド・ウォルトン,押野慎吾出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2018/08/02メディア: 文庫この商品を含むブログを見るもし感染することによって爆発的に知能が増して、いわゆる”天才”になれる菌があるとしたら、あなたはそれに感染してみたいと思うだろうか。書『天才感染症』はまさにそんな”天才”と化す菌が存在したら──という状況を描いた、菌類SF小説である。とはいえ、ただただ頭がよくなるだけの菌などという都合のいい存在はない。頭が良くなったかと思いきや、その背後には”菌類”の生存戦略が存在しており、菌類vs人類とでもいうべき、未曾有の大騒動へと発展していくことになる。 物語

    その菌に感染したものは、知能が爆発的に増加する。ただし──『天才感染症』
  • ジョージ・ルーカス、幻のスター・ウォーズ3部作構想を明かす「ファンは嫌悪したはず」|シネマトゥデイ

    幻のスター・ウォーズ3部作構想を明かしたジョージ・ルーカス監督 - Jason LaVeris / Getty Images 映画『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカス監督が、自分ならエピソード7~9で何を描くつもりだったかを友人であるジェームズ・キャメロン監督との対談の中で明かした。ルーカス自身「多くのファンが嫌悪しただろう。『ファントム・メナス』と他の全てを嫌ったように」と認めているだけに、新3部作(エピソード1~3)否定派は戦慄するであろう内容だ。 【画像】ハン・ソロ映画はまもなく日公開 ルーカスは、2012年に自身の映画製作会社ルーカスフィルム(『スター・ウォーズ』シリーズの権利を含む)をディズニーに売却。もともとエピソード7以降の案もあったが、「ファンのための作品にしたい」と考えていたディズニーと意見が合わず、自分が関わっても問題を起こすだけだとして『ス

    ジョージ・ルーカス、幻のスター・ウォーズ3部作構想を明かす「ファンは嫌悪したはず」|シネマトゥデイ
    keloinwell
    keloinwell 2018/06/16
    こっちが見てみたかった
  • SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書

    無限大の日々 作者: 八木ナガハル出版社/メーカー: 駒草出版発売日: 2018/02/28メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る著者八木ナガハルがコミケやコミティアで発表したオリジナルSF漫画を集めたこの一冊。SF物で一巻完結という時点で珍しいが、その中身は漫画という表現形式ならではの壮大なSFアイディア/光景をみせてくれる、SFとしての醍醐味がたんまり詰まった短編集だ。軌道衛星、何種類もの軌道エレベータ、昆虫型の異生物、機械知性に自由意志問題──といったいくつものネタを、守備範囲が海外SF小説メインのハードSF者と自己紹介する著者が調理していくので、それはまあおもしろいわな。 各作品をざっと紹介する 当は絵、ヴィジョン、見せ方をそのまま貼っつけてお見せしたいところだがそれは無理なので全八篇の収録作を順番に紹介していこう。まず最初に収録されているのは、別々の惑星で同じ

    SFの醍醐味がつまったSFコミック短篇集──『無限大の日々』 - 基本読書
  • ロボット法と関連するロボット/アンドロイドSFを紹介する - 基本読書

    ロボット法 作者: ウゴパガロ,Ugo Pagallo,新保史生,松尾剛行,工藤郁子,赤坂亮太出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2018/01/30メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見るノンフィクションとSF(を筆頭とした作品)を同時に読んだらおもしろいじゃろう、といつも思っているので、その二つを並列的に紹介する試みをやろう。現実の物理事象がネタ元になっているハードSFを宇宙物理学系のと合わせて紹介してもおもしろいだろうし、ドローン/遺伝子/脳科学/AIと、小説と関連して話を膨らませられる題材も多い……ということで初回は最近盛り上がっている”ロボット”である。 ロボット法については近著で手頃なノンフィクションが二冊あるのでそれを中心にして紹介するとして、一言ロボットといってもそこには無数の広がりがあって、全側面を取り上げることはできないのでまず最初に超古典的な作品、

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  • 頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書

    堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1) 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/09/30メディア: 単行この商品を含むブログ (17件) を見るエドワード・ケアリー《アイアマンガー》三部作が先日発売の『肺都』によって完結したが、これが当に凄い物語だった。奇しくも『肺都』が昨年最後に読了したとなったけれども、そんなことは無関係に問答無用で『肺都』が17年のベストだ。それどころか《アイアマンガー三部作》は、人生においてこれ程の熱量の物語にあと何度出会えるのだろうか……と考え込まずにはいられない、破壊的な小説作品なのだ。 人間を突き動かさずにはいられない特異なリズムがこの物語全体を貫いている。劇作家でもある著者による台詞、会話劇は一つ一つの発言が声の大きさ、息の吐く音まで聞こえてきそうな(凄まじい翻訳の力もあるの

    頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書
  • 言葉の解釈をめぐる、解決困難な諸問題──『自動人形(オートマトン)の城: 人工知能の意図理解をめぐる物語』 - 基本読書

    自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2017/12/18メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書は、同著者による数学的原理に裏打ちされた傑作ファンタジィ『白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険』、その続篇『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』とはまた違った物語──副題にもある通り、命令を何でもこなしてくれるスゴイ人工知能をつくる上で避けては通れない、コミュニケーション時において、人工知能に人間の持つ意図と文脈を理解させる困難さについての一冊である。 ワガママで勉強嫌いな王子と、彼の住まうクリオ城へと危機が迫り、「人間の命令を忠実に実行する」自動人形に囲まれた、王子の孤独な戦いがはじまる──。といったファンタジィを純粋に楽しみながら読み進めるうちに、人と機械のコ

    言葉の解釈をめぐる、解決困難な諸問題──『自動人形(オートマトン)の城: 人工知能の意図理解をめぐる物語』 - 基本読書
  • ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作の、植物都市SF──『コルヌトピア』 - 基本読書

    コルヌトピア 作者: 津久井五月出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/11/21メディア: 単行この商品を含むブログを見る書『コルヌトピア』は第五回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作二作の内の一作。180ページあまりの短めの長篇で、欠点といえるようなものも挙げられるけれども、破綻なくまとまっており、書で示されるヴィジョンと才能は紛うことなき物だ。大賞のうちのもう一作『構造素子』がデビュー作にして練りに練られたいきなりの傑作であることを考えると、こちらの方がむしろ新人のデビュー作らしいとはいえる。 都市の情景の素晴らしさ 物語の舞台となるのは、植物の細胞で情報を読み書きできる技術の発明によって、植物コンピュータが生まれた2084年の未来。計算能力の高さはそのまま莫大なアドバンテージに繋がる。研究は進み、地中に埋設した連絡根毛によって植生を電気的に接続し、植生全体を環境センサを

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  • [書評] PSYCHO-PASS GENESIS 1〜4(吉上亮): 極東ブログ

    アニメの『PSYCHO-PASS(サイコパス)』が私は好きで、シリーズ1と2を通して4回は見た。というか、その世界の前史にあたる小説『PSYCHO-PASS GENESIS』(参照)の読後、1度通して見て、しみじみその深みを味わった。この小説はあくまでアニメ体の外伝として描かれているのだが、それ自体が体の批評的な解釈も緻密に含んでいる。体アニメと非整合性なくさらにその質を掘り下げてくれる。 アニメの『PSYCHO-PASS(サイコパス)』がどのような作品かについては、Wikipediaなどにも解説があるので、まったく知らない人はそちらの情報を当たって欲しい。が、簡単に言うと、SFとして描く、世界全体が危機に陥る百年後の日の物語だ。そこでは各日国民の性格・才能・心理状態が「シビュラシステム」(シビュラ)と呼ばれる壮大なシステムでそれぞれ綿密に計測され、その計測値で各日人の人生

    keloinwell
    keloinwell 2017/12/12
    PSYCHO-PASSは通して見たけれど、この本は知らなかった。アニメまた見返そうかな。