中小企業の事業者にとって苦しいビジネス環境が続くコロナ禍だが、現在を備えの時期ととらえて、積極的な体制強化に取り組んでいる企業がある。ステンレスの表面加工処理を手がける大阪府八尾市のアベルだ。 同社の主力商材は、「電解発色」という手法によって、表面に極薄の酸化皮膜を生みだし、光沢を帯びた漆黒を発色する独自開発のステンレス「アベル ブラック」。曲げ加工しても変色しない、剥がれない、裏表どこでも色が均一、光が乱反射しないなど、塗装やメッキと比べて優れた装飾性・機能性をもつ。 2代目社長の居相浩介は、先代が開発したこの黒いステンレスを世に広めるべく、建築業界を皮切りに、高級自動車の窓枠やハイブランド店舗の内外装、インテリアなど、続々と新しい用途を切り開いてきた。 最近では、市場関係者の間で黒色発色ステンレスの注目度が高まり、ついに類似の製品を開発・販売する競合が現れ始めた。アベルが体制強化に励ん