首相官邸に入る岸田文雄首相(左)。右奥は長男の岸田翔太郎首相秘書官=東京都千代田区で2022年10月4日午後3時34分、竹内幹撮影 岸田文雄首相は7日の参院本会議で、長男の翔太郎氏を首相秘書官に起用した理由について、「休日・深夜を問わず発生する危機管理の迅速かつきめ細かい報告態勢、党との緊密な連携、ネット情報・SNS(ネット交流サービス)発信への対応など、諸要素を勘案し秘書官チームの即応力の観点から総合的に判断した」と説明した。…
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会談を終え、取材対応をする立憲民主党の安住淳国対委員長(右)と日本維新の会の遠藤敬国対委員長=国会内で2022年10月6日午前10時11分、竹内幹撮影 立憲民主党と日本維新の会が臨時国会で連携を加速させている。国会対応などを巡り、6日に新たに2項目で合意し、9月の6項目から拡大した。内閣支持率が下降局面にある岸田政権にとって、野党第1、第2党の接近は脅威だ。ただし、両党は政策面で隔たりも大きい。「共闘」の行方はまだ見えない。 立憲の安住淳、維新の遠藤敬両国対委員長は6日、国会内で会談した。同日早朝も含め弾道ミサイルを相次ぎ発射する北朝鮮への対応を議論するため、衆院外務委員会などの連合審査会を開催するよう与党側に求める方針で一致した。 安住氏は会談後、記者団に、政府側の都合で来週の審議日程が入っていないと指摘し「この状況で1週間何もしないのは国政の怠慢だ」と批判。遠藤氏も「北朝鮮問題で(政府
和白水処理センターに集められた下水から回収、抽出された再生リン。最終処理を経て肥料となり、8月下旬から農家への販売が始まった。博多湾の水質環境改善を目的に始まった処理は、市民生活と農業をつなぐ新たな可能性になろうとしている=福岡市東区で、津村豊和撮影 福岡市に七つある下水処理施設の一つ、東区の和白(わじろ)水処理センター。積み上がった白い結晶を職員に両手のひらですくってもらうと、指の間から砂のようにさらさらとこぼれ落ちた。臭いも全くない。 結晶の正体は「再生リン」。窒素、カリウムと並ぶ化学肥料の3要素の一つのリン酸を、市民生活で出た下水から回収、抽出したものだ。市は博多湾の水質汚濁を防ぐため、1996年にリンの回収事業をスタート。さらに、国土交通省が開発した回収技術を今年4月に導入したことで回収量が15倍になり、年間に最大で150トンを見込めるようになっ…
慶応大の学生たちがキャンパスから性暴力をなくすため、全国的にも珍しい取り組みを進めている。学内で性暴力が相次いだのを受け、学生自治を担う「全塾協議会」が傘下の部活動やサークルの代表者らに、性についての知識を身につけるワークショップの受講を義務付けたのだ。「そもそも何が性暴力に当たるのかを理解していない」との問題意識をきっかけに始まったという。【国本愛】 キャンパスの状況を知るところから 約46%――。「この数字が何か分かりますか」。キャンパスから性暴力や性差別をなくす活動をしている学生有志でつくる団体「Safe Campus」(SC)のメンバーが、参加者数人に問いかけた。 「これは性的発言や性的ジョークを受けた経験がある2年生以上の女性の割合です。男性も17%あります」 さ…
茨城県小美玉市の農業用ため池で魚が大量死し、異臭騒動に発展している。市が護岸工事に向けて水を抜いたところ、本来いなかったはずの魚が大量に酸欠死。焼却処分した死骸は既に2トンに達し、市は釣り人が放流したとみて対応に追われている。 異臭騒動が起きているのは、同市栗又四ケに位置する約55ヘクタールの農業用ため池「野村田池」。市農政課によると、池の浸食を防ぐ護岸工事のために9月上旬から水を抜き始めたところ、15日夕からブラックバスやコイの死骸が大量に確認されるようになった。 排水を続けると、さらに死骸が増加し異臭も強烈に。池は住宅街に囲まれているため、近隣住民から「くさい」といった苦情が相次いでおり、市は焼却処分で対応している。
東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕=が、駐車場サービス会社「パーク24」(東京都品川区)の大会スポンサー契約に、大手広告会社「ADKホールディングス」(港区)を介在させるよう組織委側に口利きした疑いがあることが関係者への取材で判明した。ADKは実際にパーク24の契約に関わり、組織委から報酬約3500万円を得た。東京地検特捜部は既に両社を家宅捜索しており、資金の流れを捜査している模様だ。 関係者によると、組織委は専任代理店として大手広告会社「電通」にスポンサー集めを委託したが、組織委が認めれば別の広告会社が協力代理店として加わることも認められていた。元理事はADKとコンサルタント契約を結んでおり、2016年ごろ、同社がスポンサー集めに加われないか電通に照会。当時電通と交渉中だったパーク24を介在先として指名した
大会組織委員会の高橋治之元理事が受託収賄罪で起訴された紳士服大手「AOKIホールディングス(HD)」を巡る事件では、AOKIHD側が高橋元理事らとの会合の録音や面会記録を残しており、東京地検特捜部が立証の柱に据えているとみられる。捜査の過程では、組織委元会長の森喜朗元首相(85)の存在も浮かび、慎重に捜査を進めている模様だ。 関係者によると、元理事とAOKIHDの青木拡憲(ひろのり)前会長(83)=贈賄罪で起訴=は、元理事が経営していた東京都内のステーキ店などで頻繁に会合を開き、青木前会長の部下が同席して会話を録音したり、面会記録を作成したりしていたという。
新型コロナウイルスワクチンの効果を巡り、鳩山由紀夫元首相が医師から聞いた話として「ワクチンを打った人の方が打たない人より3倍入院する確率が高い」と世界保健機関(WHO)が認めたとツイッターに投稿し、拡散した。しかし、WHOの公表資料に発言内容と合致する記述は存在せず、WHOは毎日新聞の取材に発言内容を事実上否定しており、この投稿は誤りだ。(ファクトチェックの判定基準)【山本萌】 河野デジタル相「元首相がデマ」 鳩山氏は7月13日に自身の公式アカウントで、白澤抗加齢医学研究所所長を務める白澤卓二医師から聞いた話に「驚愕(きょうがく)した」として投稿し、ワクチン開発を進める米ファイザーにも触れた。 <白澤卓二先生のお話を聞いて驚愕した。WHOがワクチンを打った人の方が打…
警察庁や国家公安委員会などが入った中央合同庁舎第2号館=東京都千代田区で2022年8月25日午後2時38分、北山夏帆撮影 警察が民間の「商業衛星」(商業目的の人工衛星)から地上を撮影した画像を販売事業者から購入し、犯罪捜査に活用していることが警察庁への情報公開請求で判明した。開示された文書によると、2016~20年度の5年間で購入は計179回、費用は計約1億950万円に上る。地上の防犯カメラをたどる“リレー捜査”は定着しているが、人工衛星を使った捜査の実績が明らかになるのは初めて。捜査で画像をどのように用いたのかは「非公表」とされ、識者からは運用の透明性を求める声が上がる。 警察庁によると、商業衛星の画像利用は01年に始まり、犯罪捜査の他に警備活動や災害対応にも使われている。都道府県警が画像が必要な日時や場所を記載して警察庁に申請し、同庁が該当する人工衛星画像の有無を販売事業者に問い合わせ
三菱重工業が開発中の次世代原子炉(軽水炉)のイメージ画像。放射性物質の外部流出を防ぐ機能を強化するなどして安全性を高める方針=同社提供 政府は原発の新増設やリプレース(建て替え)を検討する姿勢に大きくかじを切った。脱炭素社会や電力の安定供給を実現するには原発の活用が不可欠と判断したためだが、建設には多額の費用がかかり地元などでは反対の声も強く、大きな議論を呼びそうだ。 規制委は「静観」 「電力需給逼迫(ひっぱく)という足元の危機克服のため、今年の冬のみならず今後数年間を見据えて、あらゆる施策を総動員する」。首相官邸で24日に開かれた脱炭素社会への移行に向けた政策を検討する「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」で、岸田文雄首相は強調した。 これまで政府・与党は世論の反発を恐れて新増設やリプレースについて本格的な議論を棚上げにしてきた。日本の中長期的なエネルギー政策の方向性を示す
阿波踊りの総踊りで踊る人たち。閉幕後に新型コロナウイルスの感染が急拡大している(記事とは直接関係ありません)=徳島市で2022年8月12日午後9時52分、久保玲撮影 徳島県は24日、新型コロナウイルスに3182人が新たに感染したと発表した。初の3000人台で、21日以来3日ぶりに過去最多となった。徳島市であった阿波踊り(12~15日)の閉幕後、県内では24日を含め過去最多を4回更新し、1400人台だった開催前の過去最多から倍増した。 オミクロン株の派生型「BA・5」により感染が急拡大した第7波は、徳島県内で全国的な感染より遅れたとされるが、23日に公表された県のオミクロン株ゲノム解析では、阿波踊り前の2~8日抽出分で「BA・5」系統に100%置…
参院本会議で2022年度補正予算が賛成多数で可決、成立し、一礼する岸田文雄首相(右)と閣僚ら=国会内で2022年5月31日午後4時45分、竹内幹撮影 複数年度にわたって実施する事業の予算を積み上げる政府の基金が乱立している。毎日新聞が集計したところ、公益法人や地方公共団体に設けられた基金の数は1900超。予算の執行率が1桁にとどまっている事業も存在する。政策目的を果たせずに滞留する予算。なぜ使われないのか。 使われない予算 「4%」。マイナンバーカードを健康保険証として利用するため、病院や診療所、調剤薬局のシステム整備を後押しする事業に使う予算を積み上げている厚生労働省の「医療情報化支援基金」(事業額1068億円、2020年度末時点)の執行率だ。事業が始まったのは19年度。顔認証付きカードリーダーを導入する場合、機器の無償提供に加えて1台当たり最大105万円(もしくは事業額の半分)を補助す
リンゴの汁を吸うカメムシ。被害を受けた果実は表面が変色してデコボコになり商品価値がなくなる=山口県農林総合技術センター提供 カメムシは1年おきに発生数が増えたり減ったりする傾向があるという。今年は数が多い「表年」。加えて記録的な早さの梅雨明けも影響し、地域によっては過去10年で最も増えている。稲や果物への被害も懸念されるため、これまでに24都道府県が農家向けの「カメムシ注意報」を発表した。強烈な臭いを発し、家の中にまで入り込む厄介者のカメムシ。その知られざる発生メカニズムと習性とは。 農作物を荒らすカメムシは数十種類が知られ、ストロー状の口で養分を吸う。稲に付く「斑点米カメムシ」と、ナシやモモ、リンゴ、ミカンなどの果実全般に付く「果樹カメムシ」に大別され、注意報も別々に出される。このうち、隔年で発生量が増減するのは果樹カメムシの方だ。
今年度の最低賃金の目安額を決める議論が始まった中央最低賃金審議会=東京都千代田区で2022年6月28日、小鍜冶孝志撮影 2022年度の最低賃金の引き上げ幅(目安)について、「中央最低賃金審議会」(厚生労働相の諮問機関)の小委員会が全国加重平均で「30円以上」の額とすることで最終調整に入ったことが31日、関係者への取材で分かった。8月1日に最終協議に入り、同日中に決着する見通し。円安などによる物価高騰を考慮した結果で、実現すれば過去最大の上げ幅になる。 最低賃金は全ての労働者に適用される時給の下限で、現在の全国平均は930円。労使の各代表と有識者委員で構成される国の審議会で目安を毎年示し、目安を参考に各都道府県の審議会で確定させる。
五輪モニュメントが置かれた大倉山ジャンプ競技場。五輪招致が成功すれば1972年大会に続いてジャンプ会場になる=札幌市中央区で2021年11月29日、貝塚太一撮影 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)の現金受領疑惑を巡る東京地検特捜部の強制捜査は、札幌市による2030年冬季五輪・パラリンピック招致活動への影響が避けられそうにない。関係者は「疑惑が芋づる式に出たら、札幌は終わる」と危機感をあらわにした。 特捜部の係官が家宅捜索に入った26日、時をほぼ同じくして札幌市では、機運醸成のために政財界やスポーツ関係者らで構成された「プロモーション委員会」が開かれていた。ある委員は「これから騒ぎになる。表向きには、だからこそクリーンに招致をやるということになると思うが……」と深刻そうに話した。27日は、札幌商工会議所が旗振り役を務める招致期成会が総決起集会を開く。別の関係者
10日に投開票された参院選。前回2019年に比べて候補者は175人増えて545人に上ったものの、当選する見込みがほとんどない候補が乱立しているようにも見えた。政党はタレントや暴露系ユーチューバーらを公認し、「良識の府」と呼ばれる参院にふさわしい論戦が展開されたとは言えない状況だった。こんな選挙でよいのだろうか。そんなモヤモヤを、東京都知事選に3回出馬し、真面目な論戦で存在感を見せた元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児さん(75)にぶつけてみた。【田中裕之】 供託金は値上げすべきか まず供託金制度について考えてみたい。 日本では公職選挙法の定めによって、選挙に立候補するには供託金が必要だ。参院選では選挙区は300万円、比例代表は600万円を納め、一定の得票を満たすことができれば返却されるが、達しなかった場合は没収される。その目的は「売名や泡沫(ほうまつ)候補を抑制し、候補者の乱立を防ぐため」と
2014年に訪れたウクライナ南東部ノボアゾフスクの国境検問所には、ロシア軍車両の侵入を阻止するため護岸用ブロックが置かれていた。だがこの町は結局、ロシア側に制圧された=2014年3月21日、篠田航一撮影 島国の日本で生まれ育つと、「国境」というものが今ひとつ体感として分からない。頭では理解しても、陸続きで「すぐそこに外国がある」という感覚がピンとこないのだ。 だが海外取材では国境を訪れる機会が頻繁にある。そこが国家対立の前線だったり、移民・難民の出入り口だったりするケースが多いからだ。 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界の注目を集めた国の一つがフィンランドだ。隣国ロシアと約1300キロの長い国境を接しており、この距離はほぼ札幌―福岡間に相当する。 フィンランドはロシアとの決定的対立を避けるため、長年、西欧とロシアとの間で中立政策を取ってきたが、ウクライナ侵攻で状況は一変した。安全保障上
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