高校時代の同窓に、陰謀論者の男の子がいた。 系統としてはユダヤ資本が何百人会議で世界金融をしかしてその正体は敵か味方か爬虫類人というアレである。 はためには勤勉で真面目な少年だった。 体育会系でこそなかったものの外向的な性格で、友達も多かった。 まれに「世界の真実を教えてやる!」と友人を集めて9.11に隠された陰謀だとかホロコーストの真実だとかを流布しようとすることを除けば、おおむね普通の高校生だったと思う。 彼は性別の別け隔てなく友達づきあいするタイプではあったが、私はあまり深く関わらなかった。 今思えば後学のために彼の主張をすみずみまで拝聴しておくべきだったかな、と悔やまないでもないが、私は私で当時恋に勉強に何かと忙しい女子高生だったのだ。 今はもうあの頃の制服は着られない……。 しかし遠巻きに見ていてさえ、彼がなぜ陰謀論にハマっているのかわかる気がした。 彼は生真面目な人間だったのだ
![私の近くにいた陰謀論者](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1638cdb5807a4788e4ba3c1109a984166e095fc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fanond.hatelabo.jp%2Fimages%2Fog-image-1500.gif)