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ブックマーク / www.webdoku.jp (7)

  • 【今週はこれを読め! SF編】地球と人間についての脅威と希望~日本SF作家クラブ編『地球へのSF』 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『ポストコロナのSF』『2084年のSF』『AIとSF』につづく、日SF作家クラブ編の書き下ろしアンソロジー第4弾。先行する三冊にくらべ、『地球へのSF』という括りかたは曖昧だが、そのぶん多彩な作品が集まったとも言える。「まえがき」で同クラブ会長の大澤博隆さんは、〔そもそも「地球」をテーマに視線を飛ばせること自体が、SFの特技ではある〕と述べている。全二十二篇。 ディストピア的状況を描いた作品では、上田早夕里「地球をめぐる祖母の回想、あるいは遺言」が出色の出来。テラフォーミング途上の火星において、入植第一世代の祖母と火星生まれの孫との会話によって、地球が精神の自由を喪失した経緯が明かされる。それはいまの日を蝕む格差・棄民・監視・情報統制の行きつく先にほかならない。火星に逃れたひとびとにも、その圧政の波がおよぼうとしている。この作品が扱っているものは、先週紹介したジョナサン・ストラーン編

    【今週はこれを読め! SF編】地球と人間についての脅威と希望~日本SF作家クラブ編『地球へのSF』 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    kenzy_n
    kenzy_n 2024/06/05
    また色々な作品と出会う機会が増えた。
  • 【今週はこれを読め! SF編】都市伝説と認知科学的が交叉する、異色の青春冒険小説 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)』 宮澤 伊織,shirakaba 早川書房 858円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto いっぷう変わった非日常サバイバル小説。個々の要素だけを取りだせば、先行作品はいくらでもあるが、その組み合わせかたがユニークだ。 主人公はふたりの女子大生、紙越空魚(かみこしそらを)と仁科鳥子(にしなとりこ)。彼女たちは〈裏側〉の世界で出会った。 空魚は閉塞した日常に息苦しさを感じており、ひとりで心霊スポットを探索していたが、その過程で偶然に〈裏側〉へ入る方法を発見した。いっぽう、鳥子は行方不明になった友人、冴月(さつき)を探すため、これまで幾度となく〈裏側〉を訪れていた。彼女はもともと冴月の導きによって〈裏側〉を知ったのだ。 〈裏側〉は人知が及ばぬ存在が何種類も徘徊する危険いっぱい

    【今週はこれを読め! SF編】都市伝説と認知科学的が交叉する、異色の青春冒険小説 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    kenzy_n
    kenzy_n 2017/03/15
    認識外の世界に
  • 【今週はこれを読め! SF編】"濃い"のに"軽快"、ベイリーのワイドスクリーン・バロック - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)』 バリントン・J・ベイリー,大森 望 早川書房 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto バリントン・J・ベイリーは日のSFファン(の一部)に熱狂的に支持される作家だ。カルトというのとはちょっと違って「濃い」かんじがウケているのだ。 よくワイドスクリーン・バロックの代表作家のように言われたりもする。これはブライアン・W・オールディスが言いはじめたサブジャンルで「絢爛華麗な風景と、劇的場面と、可能性からの飛躍の楽しさに満ちた、自由奔放な宇宙冒険物」のことだ(SFの歴史を概観した研究書『十億年の宴』で、アルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』をワイドスクリーン・バロックの決定版と称揚したときの表現)。 ワイドスクリーン・バロックの先駆けはA・E・ヴァン・ヴォクトだし、オールディスの

    【今週はこれを読め! SF編】"濃い"のに"軽快"、ベイリーのワイドスクリーン・バロック - 牧眞司|WEB本の雑誌
    kenzy_n
    kenzy_n 2016/04/26
    サイバーパンクに似た部分が散見する
  • 【今週はこれを読め! SF編】仮想現実から猿が飛びだす! 冒険SF活劇 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『ガンメタル・ゴースト (創元SF文庫)』 ガレス・L・パウエル,鷲尾 直広,三角 和代 東京創元社 3,282円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 「みんなあの猿が大好き」 これはブログ「テクスナーク」の見出し。作中に何度かこういうブログやネットニュースが挿入される。 2059年の世界----といっても別な歴史(1959年に英仏が統一された)をたどった先の未来だが----で「あの猿」と言えば"高射砲(アクアク)"マカークに決まっている。 隻眼・葉巻・二丁拳銃がトレードマークのタフガイ。スピットファイア戦闘機を駆ってナチスからヨーロッパを取り戻すため大空を舞う、われらが英雄! 新人パイロットたちは自分の腕と度胸を試すべくこぞってアクアク・マカークと一緒に出撃したがり、遅かれ早かれ命を落とすはめになる。呆れたことに、今日は鼻にそばかすを

    【今週はこれを読め! SF編】仮想現実から猿が飛びだす! 冒険SF活劇 - 牧眞司|WEB本の雑誌
  • 「21世紀のSFベスト」牧眞司が偏愛で選んだ100冊 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    決定版の「21世紀のSFベスト100」は〈の雑誌〉2015年11月号をごらんください。 鏡明、大森望の両氏にぼくを加え、目利きとは名ばかりの乱読と独断と適当をぶつけあって1位から100位まで並んだわけですが、その座談会に先立って各自が推薦作リストを用意しました。 鏡リストは〈の雑誌〉で鏡さんが毎年担当している「SFベスト10」(2001年度〜2014年度)から原著刊行が2001年以降のものを抜きだしたもの。大森リストは大森さんの著作『21世紀SF1000』の「21世紀SF推薦作100」リストと〈の雑誌〉の常設書評「新刊めったくたガイド」(2011年1月号〜2015年9月号)の★★★★☆以上作品をあわせて、原著刊行が2001年以降のものを抜きだしたものです。そういう意味では、おふたりのリストはすでに公開されているわけです。 ぼくはそういう元手がないもので、えいやっとワガママな「21世紀

    「21世紀のSFベスト」牧眞司が偏愛で選んだ100冊 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    kenzy_n
    kenzy_n 2015/10/15
    興味をいだく作品がちらほらと
  • 【今週はこれを読め! SF編】異形環境と化した世代宇宙船、はたして最終的な寄港地は? - 牧眞司|WEB本の雑誌

    SFの古典的題材である世代宇宙船を正面から扱ったオールディスの第一長篇。オールディスはJ・G・バラードとならぶ英国ニューウェイヴの旗頭だが、書はそのムーヴメントが勃興する以前、1958年に発表された作品だ。しかし、すでにこの作家の特質がありありとうかがえる。ここに描かれる世代宇宙船内の異形化した世界は、物理的な環境であると同時に、ひとつの精神空間なのだ。 この船内で生まれた主人公コンプレインは地球もほかの惑星も知らず、またこの船の記録はとうに失われているので、いまいるところだけが彼にとっての唯一の世界だ。船内の空間は広大でいくつもの地域があるようだが、その全貌を把握している者は彼の身近にはいない。その〈居住区〉では前近代的な職位制度によって秩序が保たれており、コンプレインは狩人で野生動物を獲り、肉を売って暮らしていた。そこにはいちおう宗教もあって人々からあまり敬われていないが司祭もいる。

    【今週はこれを読め! SF編】異形環境と化した世代宇宙船、はたして最終的な寄港地は? - 牧眞司|WEB本の雑誌
  • 異様生態系SFにして異様語彙SF、しかもイーガンばりの多層現実 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    これは凄い。異様生態系SFの傑作だ。 表題になっている「皆勤の徒」は第2回創元SF短編賞を受賞したデビュー作。これに同じ遠未来宇宙を舞台にした三篇を併せ、壮大な人類未来史を構成している。しかし、歴史の流れが俯瞰されることはなく、その時点・その場所でおこっている情景が、あくまでそこに生きる者(人間由来かもしれないが、もう何だかよくわからない生物)の世界観に即して描かれる。もう端から端まで、ぞわぞわむんむんでろでろの迫力だ。 異様生態系SFの分野には、オールディス『地球の長い午後』、椎名誠『アド・バード』、筒井康隆「ポルノ惑星のサルモネラ人間」など一読忘れられない作品が多いのだが、『皆勤の徒』の鮮烈さは群を抜いている。まったく新しい生態系をかたちづくるとなれば、そこに生息する各種生物も、それらが備えている器官も、能や生存機能も、また生物間の相互関係性も、すべて馴染みのないものになり、それを表

    kenzy_n
    kenzy_n 2013/09/10
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