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ブックマーク / puhipuhi.hatenablog.com (3)

  • セザール・アンチクリストの三つの聖痕 - プヒプヒ日記

    このファスケル版ジャリ全集は古書店の隅にまるで邪魔物のように置かれていた。捨て値というも愚かな二束三文の値をつけられて。 それもそのはず、上の写真でおわかりのように状態がひどい。ドリルの穴が貫通している。さすがのGreville de Broix侯爵の前頭部をもってしてもこれほどむごいことはできなかろう。 そこで店主に根堀り葉堀り尋ねてみた。きっと精神を病んだ人の仕業に違いないと思いながら。 * ところがそれは大きな誤解だった。 なんでも阪神大震災の被害にあった家から救出されただという。家が傾いでしまってドアが開かなくなり、やむなくドアに穴をあけたのだが、そのとき室内のまで犠牲になってしまったのだそうだ。誰のかはもちろん店主は言ってくれなかったが、状況その他から考えて十中八九、レチフ・ド・ラ・ブルトンヌやセリーヌの名訳を残したK先生の蔵書に違いない。 よく分からない感動にうたれて店を

    セザール・アンチクリストの三つの聖痕 - プヒプヒ日記
  • マゾッホ時代のゴシック・カルチャー - プヒプヒ日記

    醜の美学 作者: カールローゼンクランツ,Johann Karl Friedrich Rosenkranz,鈴木芳子出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2007/02/01メディア: 単行 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る くわしい感想をいずれ書くと言いながら放ったらかしにしていた。 しかしこれが日語になったのはやはり一つの事件だと思う。こののなんたるかを知るには種村季弘『ザッヘル・マゾッホの世界』の第七章を読むにしくはない。ゴシック・カルチャーとのかかわりを説明したくだりを少しだけ引用すると: ……〈醜〉が擁護され、礼賛され、勝利する」そのような時代である。とはつまり中世であるが、中世そのものではなくて、近代の中にも底流している中世的ゴシック的グロテスク嗜好と言うのが正確だろう。近代美学の擬古典主義的合理主義の背後もしくは下にあって、暗く冷たい場所に跼蹐し

    マゾッホ時代のゴシック・カルチャー - プヒプヒ日記
  • フィレンツェへ逃れる同性愛者たち - プヒプヒ日記

    フィレンツェ 繊細にして悩ましき街 (Writer & Cityシリーズ) 作者:デイヴィッド レーヴィットDHCAmazon イタリアつながりでもう一冊。わずか180ページの瀟洒なだが、中身は外見とウラハラにどろどろに濃い。こういうのは先入感なしに読んだほうが確実に楽しめるとは思う。しかしあえて内容はどんなものかばらすと、まだイギリスで同性愛が違法だった頃に、国の弾圧を逃れフィレンツェにやってきた一群の文学者たちの(擬似)コロニーを、「繊細にして悩ましく」描いたエッセイだ。こういう、土地の精霊(Genius Loci)とそこに住む人間たちが絡んではじめて成立する世界を描く、という手法はすでに一つの文藝ジャンルになっている。とりあえず思い浮かぶのは中井英夫も言及していた近藤富枝「田端文士村 (中公文庫)」だが、よく考えればまだまだあるだろう。 このにもたくさんの文学者たちが登場する。

    フィレンツェへ逃れる同性愛者たち - プヒプヒ日記
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