世界銀行は、2015年10月、国際貧困ラインを1日1.25ドルから1.90ドルに改定しました。今回の改定は、物価の変動を反映させることで、より正確に貧困層の数を把握する目的で行われ、2011年に世界各国から新たに集められた物価データに基づいて設定されました。 旧国際貧困ライン(1日1.25ドル)と新国際貧困ライン(1日1.90ドル)を使った地域別貧困率の推定値(図1)を比較すると、 新国際貧困ライン下で、貧困率は最貧国(特にアフリカ地域と南アジア地域)ではやや低くなり、中所得国(特にラテンアメリカ・カリブ海地域とヨーロッパ・中央アジア地域)ではやや高くなるものの、総じて新旧の基準での違いは小さくなっています。貧困ラインの見直しは、最貧国の購買力を常に実質的価値に見合ったものとするために実施するため、実際の貧困ラインは実質ベースであまり変わっておらず、全体的な貧困率の差が大幅に変わることはあ