塾の先生が大好きだった。 知識豊富で、視野が広くて、感受性が豊かで、面白くて、人としての魅力がたくさんあってその人の傍にいるだけで胸がいっぱいになった。 気にかけて貰えると嬉しくて、認めて貰えると涙が出てきてしまいそうになった。 先生のようになりたくて勉強を頑張った。勉強をしていくうちに学ぶことが楽しくなっていった。 それから様々なものに興味を持つようになり気が付いたら、今まで見向きもしなかったものを好きになっていた。 ものの考え方も、捉え方も良い方向に変わり、人との出会いや一時一時を大切にするようになった。 辛いことも、悲しいことも、先生がいたから耐えられた。 その時の私は先生が「カラスは白だ」と言えば何の疑問も抱かずに「カラスは白なんだ!!!」だと思ってしまうくらい単純だった。 高校を卒業しても先生の傍にいたかった。 先生の隣で生きて行きたかった。 けれど、この時点で先生に対する気持ち