出版社の許可を得て、新刊『上級国民/下級国民』の「あとがき」を掲載します。電子版も発売されました。 **************************************************************************************** 知識社会化・リベラル化・グローバル化の巨大な潮流のなかで、現代世界は、国や歴史・文化、宗教などのちがいにかかわらず、ますますよく似てきました。なぜなら、すべてのひとが同じ目標──よりゆたかに、より自分らしく、より自由に、より幸福に──を共有しているからです。 「後期近代」になって人類史にはじめて登場したこの価値観は、今後もますます強まって私たちの生活や人生を支配することになるでしょう。 その結果、欧米や日本などの先進国を中心に、社会の主流層(マジョリティ)が「上級」と「下級」に分断される現象が起こるようになりました。