電気自動車(EV)でエンジンがなくなれば、「エンジン音」もなくなる。EVの車内は静かで、〝走るリビング空間〟とも表現される。だが、無音になることは、いいことばかりではない。音は、ドライバーが「走り」を感じるための大切な要素でもあるからだ。 そこに「あえて人工的に音をつくって付ける」需要を見いだすのが、2輪大手のヤマハ発動機だ。母体企業である音楽メーカーのヤマハとも協業し、EVをターゲットとした音を発する電子デバイスを開発、車種ごとの音のチューニングも手掛けることで自動車メーカーに売り込みを図っている。 ヤマハ発動機が、電子デバイスを使った疑似サウンドの開発を開始したのは2015年にさかのぼる。きっかけはEVシフトの加速……ではなく、自動車への騒音規制の強化だった。 高級車向けにエンジンで実績 そもそもヤマハ発動機は2輪で培ったエンジン技術をベースに、国内外の自動車メーカーに高性能エンジンを