企業の人事部門でもDXの取り組みが進み始めました。これまで「経験や勘」に頼りがちだった異動や育成などを合理的に変えていこうという機運が高まっているのです。 しかし、長くやってきた慣習を変えるのはそう簡単ではありません。例えば、関西に新たな拠点を立ち上げることになった場合。適任者は誰がいいか? 多くの会社ではこれまで、人事異動を考えるときに断片的な情報や印象で「ならば〇〇さんを抜擢しよう」と決まりがちでした。これが「経験と勘」の人事。 退職を考えるきっかけの半数が「異動」 筆者も前職のリクルートで経営幹部をしていた際、経験と勘に頼った人事をしていた気がします。当時、将来のためになるはず……と、管理職向けに経営者を招いた勉強会を開催しましたが、目的は漠然としたものでした。本人が5年以上前に「営業をやってみたい」と話していたというだけの記憶を頼りに、優秀なエンジニア職を営業部門に異動したこともあ