その日は、楽しい一日になるはずだった。1945(昭和20)年2月8日。艦上攻撃機のパイロットを養成する姫路海軍航空隊として鶉野飛行場(兵庫県加西市鶉野町)で訓練を受けていた桑原敬一さん(92)=横浜市=らは、休日で外出できるとあって朝からはしゃいでいた。 しかし突然、集合が掛かり、上官から告げられる。「特攻隊を編成することになった」 爆弾を抱えた航空機で敵艦に体当たりをする「特攻」は、44年10月のフィリピン・レイテ沖海戦から始まった。日本軍の航空機と搭乗員が減る中、練習航空隊も特攻隊に組み入れられることになった。 紙切れと封筒を渡され、希望するかしないか、誰にも相談せずに書いて出せという。その場は重苦しい雰囲気に包まれた。 当時、18歳だった。岩手県にいる母と姉、4人の妹や弟のことが気になった。一番下の弟とは12歳離れていた。2カ月ほど前に父が亡くなったばかり。体が弱い母と姉が働き、桑原
任期満了に伴う神戸市長選(17日告示、31日投開票)で、日本維新の会は11日までに、独自候補の擁立を断念する方針を固めた。7月の兵庫県知事選では推薦した新人候補が当選し、余勢を駆って参戦しようとしたが、衆院選に集中することにした。告示まで1週間を切って構図が固まった。 維新の県組織はこれまで、幹部会合を開き、擁立断念の方向性を集約。県組織の関係者は「適任者が見つからなかった」と悔しさをにじませた。特定の候補者を支援せず、自主投票になるとみられる。 維新は前回2017年の神戸市長選に初参戦。現職の久元喜造氏(67)に大差をつけられ落選した。しかし今夏の知事選では、自民党との相乗りだったが、推薦した斎藤元彦知事(43)が初当選。同市長選も党勢拡大の足掛かりにするため、参戦を模索していた。 だが、無理に候補者を立て、仮に前回と同じような負け方をすれば、党のイメージ低下にもつながりかねない。県内で
兵庫県姫路市立城陽小の特別支援学級での体罰・暴言問題は、男性教諭による児童への言動を同僚の女性職員が3年前から記録し、再三にわたり管理職に伝えたが、校長らは過小に捉えて適切に対応せず、事実上放置してきた。 県教委によると、女性職員の記録などで確認した暴言や体罰は2018年度16件、19年度1件、20年度8件、21年度8件、年度不明1件-で計34件。ほかに、記録していない暴言も多数あるとみられる。 女性は18年度から上司に報告してきたが、当時の校長(定年退職)は口頭注意にとどめ、市教委に報告しなかった。今年4月にも2回伝えたが、現校長は「行き過ぎた指導だが報告するほどではない」と判断し、男性教諭を担当から外すなどの対応をとらなかったという。 県教委は「こうした事案を1件でも把握すれば、担任から外すべきだった」と指摘。校長について「管理職として不適切だ」とし、処分対象に加えた。
出版社の約9割が東京に集中する中で地方の兵庫県明石市に根を張り、社員6人の小所帯ながら、重版率は63%という驚異的な売れ行きの本を手掛ける「ライツ社」(同市桜町)が7日、創立5周年を迎えた。明石市で出版社って一体、どんな仕事ぶりなのだろう-。同社を訪ねてみた。(小西隆久) 「私も詩を書いてるんやけど、本にならへん?」「ちょっと無理ですね。一応、1万冊単位ですから」 昼下がりの同社。大きなテーブルの一角で、社長兼編集長の大塚啓志郎さん(35)が、近所の「おばちゃん」と談笑している。 京都の出版社に勤めていた大塚さんが、故郷の明石に同社を設立したのは2016年9月。社名の由来は「書く(writes)」力で「まっすぐ(right)」、「照らす(light)」を意味する、社員の合言葉だという。 店の営業はたったの3時間半、1日100食限定のステーキ丼専門店主が書いた「売上を、減らそう。」(2019
神戸新聞社の記者となったのは1957(昭和32)年である。戦争を体験した人が編集局にもたくさんいたころだ。その先輩記者の一人からたたきこまれたという「記者三訓」がある◆(1)必ず現場へ行き、自分の目で確かめろ。いかなるときも、この鉄則を怠るな(2)上を向いて仕事をするな。上とは権威のことであり、上司でもある(3)攻める側ではなく、攻められる側にいつも身を置くように◆あの時代への苦い記憶をたたえた「三訓」を伝えたいと思ったのだろう。本紙の記者研修で力をこめて話し、NHKのラジオ番組でも時間を割いて振り返っていた。「不幸な歴史を繰り返すな」という思いを託し◆経済評論家、内橋克人さんである。89歳で亡くなった。経済記者を経てフリーのジャーナリストとなり、企業のありようなどを鋭く問うてきた。ほれぼれするような切れ味で政治の緩みもぐさりと刺していた◆著作や客員論説委員としての本紙寄稿を読んでよく思っ
新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がる中、12日に就任後初の対策本部会議を開いた兵庫県の斎藤元彦知事。緊急事態宣言の発令要請を見送った理由を「まん延防止等重点措置と内容に差異がなく、今は宣言を出しても県民にメッセージが響かない」と述べ、宣言の在り方を国と協議する意向を示した。この日過去最多を更新した感染者数については「病床拡大など医療提供体制の強化が早急に必要だ」と危機感をあらわにした。 療養者数やPCR検査の陽性率など、国が示す感染状況の指標で兵庫は重症病床使用率を除く全ての項目でステージ4(爆発的感染拡大)段階に突入した。病床使用率は50%を超えており、斎藤知事は「急激なスピードで高まっている」と懸念。1237床ある専用病床の上積みが必要との認識を示した。 対策本部会議を開く前の12日午前には県立加古川医療センターを視察。「今すごく逼迫してはいないが、重症病床はここ数日で患者が一気に
兵庫県知事選(18日投開票)で初当選した斎藤元彦氏(43)は、選挙戦で支援を受けた勢力が県議会(定数86)の過半数に大きく満たない「少数与党」の環境で、8月1日に任期のスタートを切る。9月定例会に知事給与・退職金カットの条例改正案を提出する構えだが、選挙で分裂した最大会派・自民党の合流は見通せず、改正案が可決されるかは不透明。自身が掲げる「県政刷新」のための施策を実現するには、主要会派との関係構築が鍵を握る。 投開票から一夜明けた19日、あいさつ回りに訪れた県議会で斎藤氏が真っ先に向かったのは、知事選で前副知事の金沢和夫氏(65)を応援した自民党(32人)の控室だった。応対した小西隆紀幹事長(55)の激励に、斎藤氏は「ご指導よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。 自民党会派は知事選の支援候補を巡って分裂し、当時所属していた44人のうち11人が離脱。斎藤氏は、離脱組の11人に2人を加えた
兵庫県知事選で初当選した元大阪府財政課長、斎藤元彦氏(43)は20日、知事直轄部署として、県政刷新の司令塔となる「新県政推進室」(仮称)を、就任直後の8月上旬にも新設する方針を明らかにした。改革意欲のある職員約10人を自らが選抜する。部局横断的なテーマにも即応し、公約で掲げた行財政改革や新規事業を迅速に進める狙い。 斎藤氏によると、部長級の室長をトップに、局長級5人程度と課長級など5人程度で構成する。人事や財政、政策立案の部署を中心に、人選を急ぐ。 斎藤氏が最優先課題の一つと位置付ける行財政改革は同室でプランを作り、財政や行革の担当部署とともに進める。2022年度の当初予算編成に向けて全庁的に事務事業を見直し、継続するか、スリム化するかなどを見極める。県庁内の働き方改革にも取り組む。 斎藤氏は選挙中から、全事業をゼロベースで見直すことを主張し、「約30億円の財政調整基金(貯金)を任期中には
当確当名前戸田 敦大票数1,854党派無新旧新当確当名前土井 晴夫票数1,459党派公新旧現当確当名前岨下 博史票数1,398党派無新旧現当確当名前松本 英志票数1,266党派無新旧現当確当名前太田 善雄票数1,263党派無新旧現当確当名前鎌塚 聡票数1,218党派共新旧現当確当名前西村 秀一票数1,106党派公新旧現当確当名前長瀬 雅宏票数1,057党派無新旧新当確当名前村田 沙織票数1,015党派無新旧新当確当名前田中 孝始票数998党派無新旧現当確当名前古山 久則票数990党派無新旧新当確当名前岬 光彦票数960党派無新旧現当確当名前田尾 成票数956党派無新旧現当確当名前籾谷 宏票数922党派無新旧現当確当名前石岡 義恒票数830党派無新旧現当確当名前冨永 康文票数801党派無新旧現当確当名前多田 耕造票数763党派無新旧現当確当名前岡田 教夫票数744党派共新旧新当確名前針木 均
市会本会議で今秋の神戸市長選への立候補を表明する久元喜造市長=28日午後、神戸市中央区加納町6(撮影・小林良多) 任期満了に伴う神戸市長選(10月10日告示、同24日投開票)で、久元喜造市長(67)は28日の市会定例会本会議で、3選に向けて立候補することを正式に表明した。久元氏は「新型コロナウイルス禍との闘いの先頭に立ち、市民の命と健康を守り、神戸経済を回復させることが自分に課せられた使命だ」と述べた。 本会議の一般質問終了後、発言を求めた久元氏は神戸を取り巻く課題として、新型コロナの対応に加え、人口減少や高齢化、東京一極集中などを列挙。「社会経済情勢は大きく変化している。テクノロジーを取り入れ、ポストコロナを見据えた海と山が育むグローバル貢献都市実現のため、全力で取り組む」と語った。 日本商工会議所の政治団体・日本商工連盟など約130団体が立候補を要請したほか、市会の自民、立民、公明、国
兵庫県知事選の投票所に訪れた有権者ら=18日午前、神戸市中央区港島中町3、市立義務教育学校港島学園(撮影・大森 武) 兵庫県選挙管理委員会は、18日に投開票される県知事選の同日午前11時現在の投票率が7・28%と発表した。 前回(2017年)の同時刻の投票率8・13%を、0・85ポイント下回っている。 【特集ページリンク】兵庫県知事選2021
投票所が混雑するのは避けたい。しかし投票率は上げたい-。新型コロナウイルス禍の兵庫県知事選(18日投開票)で、各自治体が矛盾する命題に苦悩している。各選挙管理委員会(選管)は、消毒液や飛沫(ひまつ)防止パネル、使い捨て鉛筆など、思いつく限りの対策を準備。「できることは全部やるので安心して投票を」と呼び掛けている。(霍見真一郎) 兵庫県選管によると、知事選の投票所は41市町計1844カ所。「『3密』が発生する可能性があるため、投票所のコロナ対策は悩んだ」という。 4月に41市町のコロナ対策を調査したところ、全ての市町が実施するとしたのが、手指用消毒液の設置▽スタッフのマスク着用▽定期的な換気▽記載台などの定期的な消毒-の4点。筆記具の持参は37市町が呼び掛け、順番待ち用の床の目印は、35市町が設けると答えた。 有権者が多い神戸市選管は、対策資材も桁が違う。消毒液は約2500リットル、飛沫防止
兵庫県知事選(7月1日告示、同18日投開票)を前に、神戸新聞社は5、6日、県内の有権者を対象に電話調査を実施した。20年ぶりにトップが交代する選挙には8割以上が関心を示し、注目の高さをうかがわせた。5期20年に及んだ井戸敏三知事(75)の県政について、約半数が評価する一方、県政の継承は約半数が「引き継がないほうがよい」と答え、刷新を求める声が多数を占めた。 電話調査は、神戸新聞社とJX通信社が実施し、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法を採用。有権者1003人から有効回答を得た。 回答者の年代は、割合の多い順に70代=32・4%▽60代=24・4%▽80代以上=17・1%-と続いた。知事選について「大いに関心がある」と答えた人は44・0%に上り、「多少は関心がある」(40・7%)を含めると84・7%だった。 県政史上初の自民分裂選
新型コロナウイルスのワクチン接種を話し合う昨秋の衆院厚生労働委員会に参考人として出た直後、「当面は打たない」と公言していた免疫学の第一人者、宮坂昌之・大阪大学名誉教授(73)が、認識を一転させ、このほど2回目の接種を終えた。大阪の大規模接種会場で予診にも協力している。接種が本格化した今でも安全性に不安を抱く人は少なくないが、宮坂氏は「打たないチョイス(選択)はない」と言い切る。(霍見真一郎) ■3本の矢 「厚生労働委員会に出席した昨年11月時点では、安全性に関するデータが非常に少なかったが、その後、従来ワクチンとほぼ同じレベルの副反応であることが分かった」 神戸新聞の取材に応じた宮坂氏は、接種を巡る心境の変化を説明した。実際にファイザー製ワクチンの2回目を今月17日に接種した後、腕の痛みや脇の下の腫れなどを感じ、翌18日夜には38度の熱が出たが、19日は平熱に下がり、再び大規模接種会場で予
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