ソニーグループ(ソニーG)がエッジAI(人工知能)処理向けに、新型不揮発性メモリーの一種である強誘電体メモリーの開発に力を入れている。ロジック半導体に混載するキャッシュメモリーのうち、主記憶に最も近いラストレベルキャッシュ(LLC)のSRAM代替を狙う。消費電力やチップ面積での優位性に加え、書き換え可能回数もLLCに求められる水準に近づきつつある。CMOSイメージセンサーと組み合わせるなど、具体的な用途や事業化の形態を探り始めた。 ソニーG傘下のソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)の奥野潤氏(第1研究部門7部シニアデバイスエンジニア)は「第71回応用物理学会春季学術講演会」(2024年3月22~25日、東京都市大学)で講演し、強誘電体メモリーへの取り組みを紹介した(図1)。 強誘電体メモリーは構造や動作原理に応じて3つのタイプがある。DRAMに似た1T(トランジスタ)1C(キャパ