ブックマーク / note.com/shu_yamaguchi (9)

  • 創造性理論 人生で大事なのは「打率」よりも「打席数」|山口周

    人生を浪費しなければ、人生を見つけることはできない。 アン・モロー・リンドバーグ 前回の記事では「適応戦略」を取り上げて、人生の経営戦略=ライフ・マネジメント・ストラテジーの実践においては、想定外の出来事をむしろポジティブな契機として取り込み、しなやかに自分と社会との関係を設計し直すことが重要だと指摘しました。 この記事では、創造性研究から明らかになった示唆に基づいて、適応戦略・創発戦略を実践する上での洞察を共有したいと思います。 今日の企業経営ではイノベーションは決定的に重要な論点となっています。テクノロジーの影響によって経営環境の変化が加速したことで、企業が提供する商品やサービスにかかるコモディタイゼーション=陳腐化・旧式化の圧力はかつてないほどに高まっています。 いまからたった20年前、あれほど活況を呈していた日の携帯電話産業が、これほどの短期間のあいだに事実上、消滅してしまったこ

    創造性理論 人生で大事なのは「打率」よりも「打席数」|山口周
    kimata24
    kimata24 2024/08/17
  • オプション・バリュー 「選択できる」ということの価値|山口周

    オプション・バリューとは、ファイナンスの概念で「選択肢=オプションを持っていることの経済的価値」を意味します。企業経営の世界では、主に金融取引に関連して、株式などの金融資産を一定の価格で買う権利(=コールオプション)や、逆に売る権利(=プットオプション)がリスクヘッジのために取引されます。具体例を示して説明します。 たとえば、現在50ドルのA社の株式がこのあとで上がると考えるのであれば、まずはA社の株式を購入するということが考えられるわけですが、たまたま持ち合わせが10ドルしかないという場合、「将来、A社の株式を行使価格50ドルで買う権利」を、例えば5ドルで購入するというのがコールオプションになります。 コールオプションの購入後、実際に株価が上昇して、例えば70ドルになったとすると、この人は50ドルの借金をしてコール・オプションを行使し、A社の株式を50ドルで購入した後、すぐに株式市場で売

    オプション・バリュー 「選択できる」ということの価値|山口周
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    kimata24 2024/08/11
  • 若い時の無目的なインプットが重要|山口周

    以前からずっと思っていたことなのですが、どこかで書いておかないと忘れちゃうなと思っていたので、備忘録代わりに。 結論から先に言えば「無目的なインプットをやってこなかった人は、肝心カナメの時期にアウトプットできなくなる」という話です。どうしてそういうことになるのか、順に説明しましょう。 まず、いわゆる「勉強」について、ここでおそるべき一つの法則を提案したいと思います。それは「アウトプット=インプットの法則」です。一体どんな法則なのかというと「人生全体で見てみれば、アウトプットの量とインプットの量は同じである」ということです。アウトプットする人はインプットしているし、インプットしていない人は、どこかで枯れる」ということで、実にシンプルな法則。 実名を挙げるのはさすがに憚られるので、ここでは差し控えますが、一時期にベストセラーを連発して飛ぶ鳥を落とすような勢いだったのに、ぱったりとアウトプット

    若い時の無目的なインプットが重要|山口周
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    kimata24 2024/07/15
  • 「見る力」について|山口周

    私たちは一般に「見る」ということをさも容易な行為のように考えています。しかし、当に「見る」ということは、そんなに容易なことなのでしょうか。 ここで一つ、皆さんの「見る力」を測るために簡単な、そして大変有名なエクササイズをやってみましょう。知っているよ、という人はスキップしてもらって結構です。 エクササイズの内容は 6人の人物によるバスケットボールのパス回しを見て、うち3人の白いシャツを着た人物が出したパスの合計を数える というものです。 それではどうぞ! この動画は「Selective Attention=選択的注意」に関するハーバード大学の実験です。皆さんは通過するゴリラの存在に気づけたでしょうか? 統計によると、成人のおよそ半分は、画面中央を横切って胸を叩くゴリラの存在に気づくことができません。ちなみに、エクササイズの内容を示さず、ただ単に「この動画を見てください」とお願いすると、ほ

    「見る力」について|山口周
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    kimata24 2024/05/02
  • #084 重要なのは「課題の発見」なのではなく「課題の生成」|山口周

    昨今は「問題の発見」「課題の発見」が重要だとよく言われますが、ものすごく違和感があるのですね。 というのも、問題や課題が「あるべき姿と現状のギャップ」として定義される以上、これはそもそも、何処かの誰かによっていずれは発見される客体ではないからです。「問題」というのは来、個人の認知的操作によって作り出される、あえて言えば一種の主体的生成物です。 人が何かをして「問題だ」と宣言するとき、そこには必ず、それを指摘する人が考える「あるべき姿=主体的意志」が前提としてあります。これはつまり「問題」は常に、それを問題だと指摘する人の「実存」が関わっている、ということです。 一方で「問題の発見」「課題の発見」という言葉には、そのような実存を介在させず、自己の立場を無色透明で安全な場所に置いたまま、何処の誰が発見しようが同じ問題、同じ課題としてそこにあるものを発見する、というニュートラルなニュアンスがあ

    #084 重要なのは「課題の発見」なのではなく「課題の生成」|山口周
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    kimata24 2024/04/19
  • 過剰に「正解」が供給される時代に何が価値になるのか?|山口周

    ChatGPTの5がそろそろ出るそうですね。3から4にバージョンアップした時ははっきりとそれがわかるくらいにアウトプットの質が上がったので、また楽しみです。 しかし、こうなってくると、いよいよ「正解を出す能力」の労働市場における価値が激減していくことになります。 今日の日では、いまだに「正解を出せる人=優秀な人」という人々のイメージは変わっていません。 カンファレンスなどで「優秀な人と聞いて、どんな人をイメージしますか?」と聞くと、多くの場合「東大とか、偏差値の高い大学を出ている人」といった返答がきます。 そこでさらに「東大を出てると、なんで優秀だと思うんですか?」と重ねて聞いてみると「だって、難しい問題に正解を出せるから」とくる。 つまり、いまだに日では 優秀さ=難しい問題を解ける人 というイメージなんですね。 だから、屋さんにいくと、いまだに「東大生の○○」とか「東大生の親の○○

    過剰に「正解」が供給される時代に何が価値になるのか?|山口周
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    kimata24 2024/04/10
  • #061 仕事に逃げない、努力に逃げない|山口周

    人材教育の世界でよく知られる映像素材に「紳竜の研究」という伝説的なDVDがあります。これは、当時キャリアの絶頂期にあった島田紳助さんが、吉興業の若手に対して「漫才の戦略」に関する講義を収録したものです。この映像を見ると、島田紳助という人が、いかに戦略的に自分の漫才を組み立てていったかということがよくわかります。抜粋版の音声がYoutubeに上がっていたのでまずこれを聞いてみてください。 おそらく、多くの人は、お笑いの世界で成功する人には天性の「お笑いのセンス」がある、と思っているのではないでしょうか。生まれつき「人を笑わせるセンス」を持っている人が、自然に「素の自分」を出すことで、笑いをとっている、という考え方です。しかし、島田紳助さんは、この講義の中でそのような考え方を全否定しています。理由は「そんなことやってたまたま売れたとしても一発屋で終わるだけ」だからです。 漫才の世界でどのよう

    #061 仕事に逃げない、努力に逃げない|山口周
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    kimata24 2023/07/03
  • #022 キャリアの滑落死を避けるための三つのポイント|山口周

    キャリアはよく登山になぞらえられて語られます。では、登山において最も重要視されるのは何でしょうか。それは「生きて帰る」こと。これに尽きます。ところが、キャリアに関する論考の多くは「いかに速く登るか」、「いかに高く登るか」といった論点にフォーカスするばかりで、肝心かなめの「いかに生きて帰るか」「いかに滑落を防ぐか」といった論点がなおざりにされている感があります。 僕は前著の「仕事選びのアートとサイエンス」を著すに当たって、70人強のビジネスパーソンにインタビューを行いました。彼らの多くは一流大学・ビジネススクールを卒業して世界的なコンサルティングファームや投資銀行に勤務している(またはしていた)人々で、まさに「キャリア登山のファストクライマー、ハイクライマー」と言えます。しかし、そのうちの少なくない人が、キャリア登山における「滑落死」の状況に陥っていたのですね。 勝ちに不思議の価値あり、負け

    #022 キャリアの滑落死を避けるための三つのポイント|山口周
    kimata24
    kimata24 2023/05/02
  • #017 能力主義はなぜ間違っているのか 書評:マイケル・サンデル「実力も運のうち」|山口周

    世界的に拡大する格差の問題を解消するための手段としてユニバーサル・ベーシック・インカムに関する議論が盛り上がっています。僕も2020年に上梓した拙著「ビジネスの未来」において日におけるユニバーサル・ベーシック・インカムぼ導入に向けてポジティブな議論を展開しました。しかし、この議論については根深い反対が存在することもまた確かです。 根っこにあるのは能力主義、つまり「地位や所得などの報いは能力や努力に応じて与えられるべきだ」という考え方です。これは評者自身も実際に経験したことですが、ある講演会において「自分は高額の報酬のために必死に努力している。そうやって稼いだお金を、努力もしないで無為に過ごしている人に対して与えろ、という貴方の主張はどう考えても正当化できない」という反論をいただいたことがあります。 この、一聴すればそれなりに真っ当に思える主張、全世界の分断を推し進める巨大なエンジンとなっ

    #017 能力主義はなぜ間違っているのか 書評:マイケル・サンデル「実力も運のうち」|山口周
    kimata24
    kimata24 2023/04/28
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