人口動態や家族構造など社会の深層の動きに着目し、ソ連崩壊、リーマンショック、アラブの春、ユーロ危機、トランプ当選、英国EU離脱など数々の“予言”を的中させてきた仏の歴史人口学者エマニュエル・トッド氏(68)。 トッド氏にとって「移民」は長年の研究テーマの一つだ。1994年刊行の『移民の運命』では、アメリカ、イングランド、ドイツ、フランスの移民政策と移民に対する国民感情を分析し、そこに伝統的家族構造の違いが決定的な影響を与えていることを明らかにしている。 そのトッド氏は、日本の人口減少と移民政策に関しても、「このままでは日本の衰退を招く」とかねてより警告を発してきた。 日本を愛する一人のフランス人からの提言 4月に改正入管法を施行し、外国人労働者の受け入れ拡大に一歩踏み出した日本。トッド氏はこれを「大きな一歩」と評価しつつ、「文藝春秋」の取材に応えて、「移民受け入れにあたって犯しがちな6つの