2月19日、午前9時。トヨタの労使交渉が幕を開けた。今年の労使協議会はいつもと明らかに様子が違う。 ■「忸怩たる想い」 ■言いたいことが言えない風土 ■基幹職も初めて参加 ■「家族の会話」をするために ■“I”ではない“YOU”の視点 2月19日、午前9時。トヨタの2020年の労使交渉が幕を開けた。今年の労使協議会はいつもと明らかにようすが違う。社長の豊田章男がいつも座る“指定席”にいないのだ。 議論をするための机が三角形に配置されている。例年なら、組合と会社が向かい合うように机を並べ、交渉する相手が目の前にいる。しかし、今回は真正面に向き合う相手がいない。3辺にはそれぞれ、①組合、②会社(副社長の河合満、執行役員、幹部職・基幹職の代表=いわゆる管理職)、③社長の豊田章男と、河合を除く副社長、取締役が並ぶ。 豊田社長 昨年の春の交渉の最後に、私はこう申し上げました。 「今回の話し合いは私も